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10話 俺は神様なんですけどぉ?!


 10話 俺は神様なんですけどぉ?!


「っっ?! はぁああ?! お、俺の矢を……つ、掴んだ?! はぁああ?!」


 額にあたる直前、

 センは、右手で、バシッっと、矢をキャッチしてみせた。


 華麗なるムーブをかましてみせたセンが、

 今、内心で何を思っているかと言うと、


(……ギリッギリ……あぶねぇ……コンマ1秒でもずれていたら、完全に死んでいた……やっばい、やばい……だ、だが、成功した……なんとか、成功した……っ)


 普通に避ける方が、遥かに簡単で安全だったが、

 センは、あえて、矢をキャッチするという選択を取った。


 それは、『ハッタリをかますため』である。

 ――これだけのことができるゴブリンを相手にするのは得策じゃないよ?

 ――逃げた方がいいんじゃない?


(知識と経験を駆使すれば、どうにか、ギリ、攻撃を回避することはできる……だが、火力ソースがなさすぎて、撃退はできねぇ……このままやりつづけたら、いずれは力尽きちまう……というわけで、撤退してくれ……頼むからぁ……)


 『どうにか逃げてくれないか』と心で願っているセン。

 しかし、


「まずいよ、リグ。あのゴブリン、とんでもない反応速度……もしかしたら、僕たち以上の存在値を持つ化け物かもしれない……逃げた方が――」


「馬鹿がっ! もし、こいつが魔人に進化して、ゾメガの配下に加わったら、ますます、悪の勢力が増してしまうんだぞ。ただのモンスターであるうちに、殺しておくんだ」


 そんな、リグの覚悟を見て、センは内心、


(無駄な使命感を見せんなよ……めんどくせぇなぁ……)


 思わず歯ぎしりしてしまうほどのイラつきをみせる。


(うぜぇ、うぜぇ、うぜぇ……つぅか、ちょっと前まで、存在値数百兆の化け物10000体を華麗に狩りつくした俺が、なんで、存在値250程度の雑魚二人に、こんなビビらないといけないんだ……あと、言っておくけど、俺は、お前らを創造した神だぞ。そして、お前らを助けるために、わざわざ、力をなくしてまで、この世界に降臨したんだぞ……そんな慈悲深き神である俺を、なに殺そうとしてきとんじゃい、クソばかたれどもがぁ)


 ラーバが、さらなるバフ魔法を、リグにかけていく。

 センを殺すための準備に余念がない。


(どうする? どうやって、逃げる……っ)


 そこで、リグは、再度、剣を取り出すと、深い呼吸で精神統一をする。

 弓の方が得意だが、『遠距離攻撃』というものは、『効かない相手』には『マジでまったく効果がない』ということを経験上知っている。

 『体が岩石で出来ている系のモンスター』を相手に弓を使い続けるのはただの馬鹿。

 同様に、弓をキャッチしてしまうやつに遠距離攻撃を撃ち続けるのはバカの諸行。


「いくぞ、ごらぁあああああ!」


 さらにワンランク上の気合を入れてから、

 リグは、センに切りかかってきた。


 性根は、そこそこ腐っているが、

 使命感や覚悟や気合いという部分に関しては、

 それなりに分厚い器を持っている戦士――それがリグという男。


 モンスターに対する偏見や差別意識という点を無視すれば、

 そこそこ、普通に、出来がいい戦士なのである。



「だぁりゃぁあああっ!」



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