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7話 リグとラーバ。


 7話 リグとラーバ。


 気配がした方に、センが視線を向けてみると、

 武器を持った、12~3歳ぐらいの若い男女が、森の中を歩いていた。



「――リグ、ほんとに大丈夫? 南大陸で密猟なんて……国際問題になるんじゃ……」



 ひそひそと、小声で、そう声をかけた密猟者A(女子)に、

 リグと呼ばれた密猟者B(男子)は、ひそひそと小声で、


「なに、ビビってんだ、ラーバ。みっともねぇなぁ。心配する必要は皆無。人類には『無敵のメシア』がついているんだ。どんな問題を起こそうと、『魔王』は人間様に手出しできねぇよ」


「それは、つまり、僕達の行動で、勇者メシア様に迷惑をかけるってことになるんじゃ……」


「メシアだって、モンスターを殲滅したいと思っているはずさ。悪の権化である化け物どもが、こんな『資源で一杯のでかい大陸』を陣取って、人以上の『でかい国』を築いているなんて、人間様の正義がゆるさねぇ。悪は、悪らしく、人間に狩られていればいいんだ」


 モンスターに対して、このような考え方をもっている人間は多い。

 決して、リグが特別『差別思想が強い』というわけではない。


「それよりも、ラーバ、警戒をおこたるなよ。南大陸は、北と違って、モンスターの強さがケタ違いだ。話によると、この辺りには、存在値200前後のモンスターもウロウロしているらしい」


 北大陸の中でも、『北方の森』にだけは、『強大なモンスター』が潜んでいるが、それ以外の地域では、存在値50~100程度のモンスターしかいない。


「……おそろしい話だね……『5つ星の冒険者』に匹敵するモンスターがウロウロしているなんて……」


 しんどそうに溜息をつくラーバ。

 この二人は、北大陸の冒険者で、ランクは『8つ星』とかなり上位。

 当然、存在値も、250前後と、かなり高め。

 『北にいるモンスター(北方の森にいるモンスター以外)』なら、容易に狩れるだけの力を持つが、南大陸の化け物が相手となると、さすがに話が違う。


「……ん?」


「どうした、ラーバ」


「リグ……近くに下級のモンスターがいる。こっちを強く警戒しているみたいだ。放っておいたら、襲ってくるかも。どうする?」


 レンジャータイプで、感覚が鋭いラーバは、

 近くの大木に隠れているゴブリンの気配を敏感に感じ取った。


「下級って、どのぐらいだ?」


「存在値10以下……かなりの雑魚だ……たぶん、スライムかゴブリンだと思う」


「……それが、何匹いるんだ?」


「一匹」


「……そんなハナクソみたいなカス一匹、放っておいてもいいと思うが……」


 一瞬だけ放『置しておこうか』とも考えたが、


「遠距離攻撃か、デバフ系の魔法が使える雑魚だった場合……ほかの強敵とタッグを組まれた時に鬱陶しいか……」


「一応、排除しておく?」


「そうだな」


 決断すると、

 二人は、武器を構えながら、

 『大木の影に隠れているカス』の元へと近づいていく。



 ★



 大木の影に隠れている雷ゴブリン――センは、


(いや、警戒はしているけど、殺気は出してねぇだろ……こんなハナクソみたいなカスは放っておけよ……くそったれ……)


 ギリっと歯ぎしりしながら、

 さて、どうしようかと頭を悩ませていた。


(まずい……エンブレムから察するに、あいつらは8つ星の冒険者……存在値は、およそ250……今の『完璧なカス』でしかない俺じゃあ、どうしようもねぇ……)


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