表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

138/1228

5話 エンディングだぞ、泣けよ。


 5話 エンディングだぞ、泣けよ。


(死ね、死ね、死ね! 俺を殺そうとしたヤツに慈悲などなぁい!)


 センはワガママに生きているだけの凡人。

 だから、殺されそうになれば、当然、殺し返す。




「ギ……ギ……」




 小虫の外殻は、まあまあ硬く、

 なかなか死に切らなかったが、

 何度も、何度も、踏みつけた結果、

 ついに、ようやく、どうにか、殺しきることに成功した。


(勝ったぁ! ついに俺は、バグに勝った! 長く苦しい戦いを、俺は乗り越えた!)


 センは、天に向かって、両腕を突き出す。

 渾身のガッツポーズを決め込んで、


(これで、世界は救われた! 俺の仕事は、完全に終わった! さあ、T・104、もういいだろう? 俺を戻してくれ!)


 と、心の中で、帰還要請を出すセン。

 しかし、当然、T・104は応えない。

 なぜなら、言うまでもなく、何も終わってなどいないから。

 あと、もっと言えば、T・104の狙いは他にあるから。


(クソが……やっぱり、戻れねぇか……まあ、わかってはいたが……)


 などとつぶやきつつ、

 センは、木にもたれかかった状態で、座り込み、


(……今の虫が『噂のバグ』だったのか、それともただの小虫モンスターだったのか知らんけど……とりあえず、倒したという事実には変わりない……なのに、レベルが上がった様子は一切ない……経験値12000倍のスペシャルがついているのであれば、どんな雑魚だったとしても、ある程度、レベルは上がるはず……だが、変化は一切ない……)


 センエースのレベルは上がらない。

 どんなにあがいても『2』に上がることはない。


(こっちでも、俺は、マジで、ずっとレベル1なのか……エグすぎん? こんなもん、どうしろってんだよ……さっきぐらいの小虫ならともかく、『ガチのバグ』に出てこられたら、俺が100億人いたって、鼻息でさよならだぞ)


 バグの怖さをよく知っているセンは、

 天を仰いで、深いタメ息をつく。


(……なげくのはもういいから、真剣に考えてみよう。どのぐらい鍛えたら、俺は、ガチのバグを殺せる? 幸いなことに、戦闘思考力は消えていないし、知識も丸々残っているから、今の俺は『本当に何もできないレベル1』ってわけではない……)


 小虫との闘いで、分かったことがいくつかあった。

 それは、『知識がベースとなる強さ』に関しては、もちろん、『普通に残っている』ということ。


 100億年以上を積んできた、その『記憶』はちゃんと残っている。

 体を俊敏に動かす能力はなくなっても、体を効率的に動かす知識は失っていない。

 オーラとマナをコントロールする訓練を積んできたという『経験の記憶』は残っている。

 知識と経験と記憶をベースにすれば、『効率』を求めることができる。

 つまり、最初にやった時よりも、短時間で再現することが可能だということ。


 ――ゴブリンの体に慣れさえすれば、あとは、加速度的に強くなれる……はず。


(オーラやマナに関する神髄は、ある程度、つかめてきているんだ……完全理解は不可能でも、100億年かけて理解してきたことは、今の俺の中でも、血肉になっている。体の動かし方や、オメガバスティオンに関しても……俺の中には、ちゃんと残っている。鍛錬の時間さえ確保できれば、どれも、再現は可能……だと……思うんだが……)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ