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4話 ことはすべてエレガントに運んでほしいんだけど。


 4話 ことはすべてエレガントに運んでほしいんだけど。


「ギギギィ!」


 ダメージは入ったが微量のようで、

 バグは、まったく怯むことなく、むしろ、果敢に攻撃をしかけてきた。


 蚊のように、不規則な飛行をしながら、

 センとの距離をつめて、『針がついているシッポ』で突撃。


「ギャっ!(ぐぉおお! 痛ぇえええ!!)」


 バグの攻撃が、右腕に直撃。

 よけようと体をひねったのが、反応速度がゴミすぎて、

 普通にダメージを受けてしまうセン。


(クソ痛ぇな、ド畜生……今の一撃だけで、けっこう、HPを持っていかれたぞ……『ちょっとハリで刺されただけ』だってのに……弱すぎるって、今の俺……)


 小虫は、『次の一手』に移っていた。

 センの頭上から、脳天めがけて落下してくる。


(うぉ……っ!)


 今度は、どうにか回避することに成功した。

 前ローリングでダイナミック回避。


(重たい体だな、ちくしょう……)


 オーラで肉体にブーストをかけたいところなのだが、

 マナコントロールと同じで、

 『頭の中でイメージした力』をまったく捻出できない。


(……才能とか肉体強度は、最悪、このままでも別にいいんだが、せめて、鍛錬する時間だけは欲しいな……)


 センには、『努力できる器はある』という強い自負がある。

 だからこそ、『足りない時間』を、強く求めてしまう。


 そんなことを考えている間も、小虫は、センを殺そうと、機敏に空を飛んでいる。


「雷撃ランク1!」


 また魔法を使うセン。

 バカの一つ覚えだが、しかし、現状のセンには、これ以外、まともな攻撃手段がない。


(せめて剣があれば……)


 『剣』も『こんぼう』も持っていない、

 実に漢らしい裸一貫。

 それが今のセンエースの姿である。


(まあ、剣があっても、まともに扱える気がしないが……)


 ナイトメアソウルゲートで、死ぬほど剣を振ってきたが、

 今のセンは、その積み重ねを、ほぼ完全に失っている。

 仮に、今、ここに剣があったとしても、剣の重さに振り回されるだけだろう。


「雷撃ランク1! 雷撃ランク1!」


 しょっぱい魔力を、どうにか捻出して、

 どうにかこうにか、マナに乗せつつ、

 魔法を小虫にぶつけていくセン。


(な、なんて、ダサい闘いなんだ……エレガントさのかけらもない……)


 『ゴミみたいな魔力』で生成した『ゴミみたいな魔法』を、がむしゃらにぶっ放していくだけというブザマな姿。


 ただ、それでも、小虫には、そこそこ効いているようで、


「ギガッ……ッ!」


 何度目かの直撃で、ついに、小虫は、地に落ちた。


(よっしゃぁあ!! とどめじゃ、ごらぁああ!)


 アドレナリン全開のセンは、

 『地に落ちた小虫』の元まで全力で駆け寄り、

 思いっきりジャンプしてからの、


(どっせぇい!!)


 豪快な踏みつけ。

 技術もパワーもない今のセンにとっては、

 パンチするよりも、自重と重力に任せて踏みつける方が、よっぽど火力が出る。


(死ね、死ね、死ね! 俺を殺そうとしたヤツに慈悲などなぁい!)


 センは善人でも聖人でもない。

 ただ、ワガママに生きているだけの凡人。

 だから、殺されそうになれば、当然、殺し返す。




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