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60話 昔、ヒザに受けた古傷が痛む。


 60話 昔、ヒザに受けた古傷が痛む。


「ここからの作業が大事かつ大変だな……さて、どうする、T・104くん」


「基盤となる部分は、ある程度、やるつもりでおるんやけど……セン、その辺も、全部、お前に任せた方がええか? どうやら、ワシがおらんでも、全部できるみたいやし」


 そこで、センは、ドンと胸を張って、


「当たり前だ。プロジェクトリーダーである俺に全権がある。だから、ここからは俺に任せろ。あとは全部俺が――」


 と、そこまで言った時点で、センは、うずくまり、


「うっ! ぐっ!」


「……どしたん?」


「昔、ヒザにうけた古傷が痛む……くっ……残念だが、『お前に任せるしかない』らしい……くそぉ……出来るのに……俺がその気になれば、楽勝なのに……ちくしょう……無念だ……」


「……あ、そう」


 何か言いたそうな顔をしているTさんだったが、

 あえて、何も言わず、進化指定アプリを用いて、世界に生命の革命を起こしていく。


 細かい調整を施しながら、T・104は、知的生命体の創造に勤しむ。


「まずは、目の進化やな……」


 眼球、光彩、網膜、そして、脳内で映像化するための神経組織。

 最も大事な機能であるため、その作成は非常に困難。


 ――ただ、


「……ま、こんなもんやろ」


 ほぼ、『秒』で、目の進化を終わらせたトウシ。


「あとは……脊骨なんかの、生命を支える骨格のデザイン・モデリング……半規管なんかの肉体を制御するセンサーの設定……あと、分裂・代謝などの基礎性能が高いタンパク質の設計やな。さすがに、やることが多くてだるいな……セン、分担作業にした方が効率ええねんけど、どうする?」


「ヒザがぁあ! くそぉお! ヒザめぇええ! ……くっ……っ!」


「……わかった、わかった」


 だるそうにそう言うと、T・104は、

 『知的生命体』の誕生に必要な作業を、サクサクとこなしていく。


 『秒』で終わらせることはできなかったが、

 ほんの数時間程度で、


「よし……脊椎動物が誕生。初期のころは、血色素のヘム間相互作用がクソすぎるんと、アミノ酸配列異常が多すぎて、アカンかなぁ思うたけど、どうにか、完璧に調整できた」


「細かいミスが目立つな、Tくん。そういうところだぞ」


「すんまへんなぁ。ところで、あと500万年ほど時間加速したいんやけど、よろしか?」


「まて、ここは、501万年にしたらどうだろうか? 俺の細かい高度な計算によると、そっちの方が、なんだかんだでアレな気がする」


「……好きにせぇや」




 ★




 バクテリアが誕生してから、ほんの500万年ほどで、

 生命は、新しい時代に突入した。


 その結果、


 ――『ニューラルネットワークエンジン補助アプリがアンロックされました』


 T・104が渇望していたアプリが解放された。


「Tさん、新しいアプリが解放されたぞ。これで、アレがアレできるな。やったぜ」


「おお、やっときたか。それがなかったら、さすがにダルすぎるからな。一々、脳のシステムをパッケージなしの手動とか、やってられへん」


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