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58話 29。


 58話 29。


(これが、創世アプリか……)


 試しにそのアプリを起動してみた。

 すると、『干渉圧縮率の設定をしてください』という項目の下に、数値を打ち込める空欄があった。



(確か……『29』……で、いいんだよな……)



 心の中でつぶやきつつ、

 センは、数字を打ち込んだ。

 すると、その瞬間、足元で、ポっと小さな火の玉が発生した。


 着火する。


 灼熱が『全て』になる。

 『波動領域に保存されていた闇』が燃えあがる。


 連歌・暫定真空という零次エネルギーの誕生。

 虚数世界が産声を上げた瞬間。


 一秒という単位に永遠を感じるほどの、

 気が沈んでしまいそうになるほど短い時間の中で急膨張していく。



(……これが……世界の器……)



 困惑しているセンを置いて、次第に、世界の温度が低下していく。

 クォークやレプトンが結合して陽子・中性子・電子になる。

 やがて、原子が生まれる。


 すると、その直後、



 ――『時間加速アプリがアンロックされました』



 そんなメッセージが端末に表示された。



(来たな……これで、最小『2』倍、最大『10億』倍まで時間を加速できる……と……)



 時間加速アプリ。

 文字通り、時間を加速させることが可能な機能。

 二倍から十億倍まで時間を加速することができるが、時間を戻すことはできないアプリ。


 ナイトメアソウルゲート内の時間を加速させることはできない。

 加速できるのは、あくまでも、シャイニング/G‐クリエイションルーム内の時間のみ。


(ここから、100億年ほどは、何も起こらない……)


 アプリを使って時間を加速させ、

 開闢かいびゃくの様子を監察していると、

 100億年が経過したところで、



 ――『星間整地アプリがアンロックされました』



 時間加速が強制的に停止され、そして、新たなアプリが使えるようになった。


 センは、そのアプリを使って、巨大な恒星の周りに、いくつかの惑星を配置する。


 あらかた整地が終わったところで、



 ――『サポートAI【T・104】がアンロックされました』



 そんなメッセージが届いた直後、

 センの目の前に、人型のAIが出現する。


 サポートAI『T・104』は、

 一度、キョロキョロと周囲を確認しつつ、


「……また、ワケわからんことになっとんなぁ……ワシの人生、どうなってんねん……」


 と、心底鬱陶しそうに溜息をついてから、

 センの顔をチラっと見て、


「まあ、ええわ……ワシはあくまでも、サポートで、面倒な役回りは、全部、閃壱番センエースがしてくれるみたいやし」


 ボソボソと、そう言うと、


「ほな、さっそくやけど、全面的に補佐していくから、世界を創っていこか……今、どこまで出来とんの?」


「……」


「あん? どしたん?」


「いや、なんか……お前の顔を見ると、無性に腹が立つんだけど……なんでだろう」


「おどれのバイオリズムは知らんがな。『上手にアンガーマネジメントしてくれ』としか言いようがない」


「……その正論もイラっとするな……」


 と、センは、無邪気なことを口にしてから、


「まあいいや……それよりも、今は、目の前の課題に取り組むことを優先しようか」


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