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55話 最低でも、血ヘドが枯れるまで努力しろ。


 55話 最低でも、血ヘドが枯れるまで努力しろ。


 センは、まるで、部下の有休を絶対に認めないパワハラ上司のように、


「死んでも頑張れ。まだまだ、俺の相手をしろ。完全に死ぬのは、俺の可能性が開いてからにしろ」


 そう言いながら、

 センは、悪夢バグとの距離を詰めて、

 悪夢バグの顔面に拳を叩き込んだ。


「ごふっ!!」


 まるで薄氷でも踏み抜いたみたいに、

 悪夢バグの顔面がバリンと割れる。


「なんだ、その脆さ。ふざけるな。もっと気合いを入れろ」


「も、もう……本当に……限界……」


「だめだ。最低でも、あと1000万回以上は復活してもらう」


「……ムリだ……ストックだけではなく……心も……すでに……」


「泣き言をほざくなよ、みっともねぇ。無限蘇生するって言ったのはテメェだろ」


「君の心を折るためのウソだ……無限蘇生は……そう簡単に複製できない……劣化版しか……」


「なら、嘘を現実にかえろ。限界を超えて、幻想をたぐりよせろ。大丈夫、死ぬほど頑張れば、できる、できる。なんせ、俺ていどにも出来たことだからな。その気になれば、全員できるはずだ。というわけで、さあ、頑張れ。まずは、血ヘドが枯れるまで努力しろ――それが最初の一歩だ」


「……」


 ドン引きの顔で、センを見る悪夢バグ。

 目の前にいる化け物に、心が、本気の畏れをなしている。


 完全にビビってしまっている悪夢バグの心をシカトして、

 センは、たんたんと、


「お前のあとも『面倒』はやってくるんだろう? だったら、今のうちに訓練をしておかないとな。やれることは全部やる。お茶目に後悔しているヒマはないから。――というわけで、さあ、立て。まだまだ付き合ってもらうぞ。俺達の闘いはこれからだ」


「……もう……無理……貴様の相手は……やってられない……」


 そこで、悪夢バグの体が、

 ホロホロと、崩れていく。


 心と魂が完全に砕けてしまったのが見てとれた。

 『形状を維持することすら出来ないほどの絶望』に包まれてしまった証拠。


 まるで、この世から逃げ出すように、

 悪夢バグは、『自身の崩壊』を加速させる。


「おい、ふざけんな。消えるんじゃねぇ。待て」


 必死に引き留めようとするが、

 しかし、もう悪夢バグは、とまらない。

 一目散に、この世から逃げ出した。


 副官も、他の虫けらも、完全に崩壊して、世界に溶けていく。



 ほんの数秒で、10000体のバグたちは、完全に消失してしまった。

 それを見送ったセンは、


「ちっ……豆腐メンタルのカスどもが……」


 と、文句を一つ口にしてから、

 300人の魂に視線を向けて、


「……あれ、どうするかな……」


 と、思っていると、

 そこで、ナイトメアソウルゲートの声が響き渡る。


『バグの処理、見事だ。ご苦労さん。ゆっくりと休むがいい。300の魂は、私の方で処理しておこう』


「……その『処理』ってのは、『消す』って意味じゃないだろうな?」


『排除の意味だと、何か困るのか?』


「……」


『冗談だ。バグを処理してくれた礼として、あの魂は、蘇生させた状態で、元の世界に戻しておく』


「そいつらを生き返らせるのは、礼になってねぇ。礼なら、施設を解放する的なことで返してくれ」



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