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17話 永久に不滅。


 17話 永久に不滅。


「ありのまま、みっともないところを魅せてんだから、ちょっとぐらいは引いてくれよ、頼むから。そして、軽蔑して、俺の評価を下げてくれ。お願いだから。300円あげるから」


「明らかに無理をして、愚者を演じているところを見せられても、挨拶に困るだけですが?」


「いや、無理はしていない。けっこう、ガチで、素なんだが……」


「尊き陛下は、おそらく、ワシの陛下に対する態度を見て、『自身が過剰に敬われすぎている』と御判断なされているのでしょうが、しかし、それこそが『過剰な推断である』と断言させていただきます。確かに、『行き過ぎた敬愛』や『盲目な偏愛』は、『依存』や『独裁』の卵たりうる。それを回避するために、主が心に抱いているブレーキ……徹底的に『魂の穢れ』を忌避なされる、その断固たる姿勢。感服いたします。その高潔さには眩暈すら覚える。……しかし、陛下。どうか、ご理解いただきたい。ワシは、決して『過剰な態度』には至っておりません。陛下を前にしていながら『恍惚による失神』をしていないので、むしろ、不敬な方でしょう」


「この世界が、『俺を見た瞬間に失神しないと不敬』というシステムの通りに動いてるってんなら……まずは、その幻想をブチ殺す!!」


「尊き主よ、あなた様は、すべての命に崇拝されてしかるべき御方。そこが最低限。絶対的な真理として、あなた様だけが神を名乗れる。あなた様だけが王を名乗れる。すべての命の頂点にたつ絶対的支配者。あなた様こそが……あなた様だけが真なる光!!」


「もちつけ。よく見ろ。ここにいるのは、ただのみすぼらしい童貞だ……って、言わせんな、こんなこと。死にたくなるから。俺を傷つけるんじゃねぇ。俺がかわいそうだろうが。ソっとしておいてやれよ」


 などと、センが必死になって、

 すこしでも、『今後の自分の立場がマシなものになるよう』に、自身が『最善の努力』と確信している行動をとり続けるが、しかし、カンツ相手には梨の礫。


 そして、その「暖簾のれんに腕押しっぷり」は、他の誰を相手にしても同じなのだ。

 もはや、センエースに撃つ手などない。

 センエースは、『誰もが待ち望んだ理想の王』として、世界中の人間から崇め、奉られるしかない。


(冗談じゃない。そんな鬱陶しい面倒を抱えるぐらいだったら死んだ方がマシ……とは思わないが、しかし、トントンぐらいしんどい。どうにかしない……どうにか……こ、ここは、やはり、タナえもんにすがるしかないか……っ)


 などと考えていると、

 そこで、ちょうど、

 『センエースの心の支え』がひょっこりと顔を出す。


「もう起きとるよな? みんな、お前のキングススピーチを待っとるから、はや、出てこいや。なにしてんねん。もたもたすんな」


 と、イライラ混じりの彼に、

 センは、すがりつくようにして、


「タナえもぉおおん!!! 頼む! 助けて! コスモゾーンをバグらせて、カンツたちの頭から俺の記憶を消してくれ! 頼むぅう! 一生のお願いだ! 頼むうううう!!」


「そう言うと思ってな。実は、言われる前から、先に動いとってん。アカシックレコードにハックをかけて、お前に関する情報をいじってきた」


「流石だぜ、親友ぅううう! はっはぁあああ! どうだ、カンツぅうう! これこそが、第一アルファ人クオリティ! 俺たちが誇る絆の友情パワーとやらだ! 貴様らが、いかに、俺へ、ド級の嫌がらせをかまそうとしても、無駄無駄無駄無駄ぁああ!! なんせ、こっちには、正統なる銀河の支配者がついているからなぁ! タナえもん、さあ、やっておしまい!! こいつらの頭のなかから、俺に関する記憶を全て奪い取ってやるのだぁああ! ふはぁーっはっはっはは!」


「今後、誰がなにをしても、アカシックレコードから、お前の献身に関するデータを奪うことはできんようにさせてもろた」


「はっはっはっはーはぁあああ?!」


「一時的に記憶を封じるとかならギリできるやつもおるかもしれんけど、完全に奪い去るんは、絶対に不可能。やったね、センちゃん。お前と家族の絆は、永久に不滅だよっ」


「トウシィイイイイイイイイイイイ!!!!!!」



 ★



 その後、トウシとなんやかんやモメたりもしたが、


 ――最終的に、センは、ワールドシンボル前の壇上に立たされて、

 全世界に向けてのスピーチをさせられる事とあいなった。

 もう何もかもうまくいかなくて、いい加減ブチギレて、やけになったセンは、


「――ふぁっきゅう、ぶち殺すぞ、ゴミめら!」


 とことん全力で『賭博黙示録ムーブをブチかます』と言う暴挙に出た。

 とにかく少しでも嫌われておこう、と言うしょっぱい算段。

 無意味な抵抗だと言うことはわかっているが、

 不可能を前に立ち止まるようじゃ、

 『諦めないヒーロー』の称号はいただけない。


「どいつもこいつもアホづらばっかり。お前ら一生負け続けるな! ゴミゴミゴミ、一つ飛ばして、ゴミ! 飛ばされたお前はカス! 全員、例外なく敗北者! 社会のダニ! ただクソして眠ることしかできない事実上の公害!」

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