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12話 完璧な朝。


 12話 完璧な朝。


「というわけで、集積所さんよぉ。俺の、この、たった一つの願いを、どうか叶えてくれ」


「師よ!」


「安心しろ。平。お前らが俺を忘れても、俺は、決して忘れない。いつも近くで見守っているから。俺はいつだって、お前たちの心の海を漂っている。何も心配はいらない」


 しみじみと、感慨深くそう言ってから、


「じゃあ、そう言うわけで、願いの方、おなしゃーす。あ、ついでに、『ゼノリカの王は昔からずっと田中トウシである』っていう記憶もねじ込んでくれたら、ありがたいかな」


 そう言った直後、

 センは、頭がクラっとしたのを感じた。


「あれ……ん……?」


 ふらついていると、

 そこで、『祈りの集積所さん』が、


「一度眠れ、センエース。目が覚めた時、そこには、貴様の願いが完璧に叶った世界が広がっている」


「あ、マジすか。助かりまーす。あざぁす――」


 お礼を言った直後、

 センの意識は完全に飛んだ。




 ★




「……ん?」


 目が覚めた時、

 センは、いつものクソ豪華な、第二アルファの部屋にいた。

 荘厳な『無数のシャンデリア』が並ぶ。

 周囲を見渡すと、クソ広い豪華な部屋。

 バカみたいにでかい、高級感で一杯のベッド。


 周囲を確認しつつ、センは、


「ついに ついに、俺は理想郷にたどり着いた……いや、まあ、もちろん、ここからもやるべきことは山ほどあるわけだが、しかし、俺は、事実として、理想となる土台を手に入れたのだ。――『極大のパワー』、『無駄に崇められることのない平和な世界』。く、くくく……やった、やったぞ、俺は全部を手に入れたんだ。もう誰一人、俺の邪魔をするものは存在しない。思う存分、せいのあるものの死と苦しみを楽しんでやる! ふはーはははははははっ!」


 などと、テンションをバチ上げして、なぜか『悪のテンプレ』を叫び、バカ笑いする命の王。

 いつだって、どんな時だって、たいがい、『高潔さ』からは、かけ離れた場所にいる、究極のヒーロー。

 『過激なハイテンションで頭がチャージされている』ので仕方ないとは言え、しかし、そんな言い訳では許されないほどのやべぇ狂いっぷり。


「さーて、まずはなにをしようかなぁ。リニアゲーは大嫌いだけれど、自由度が高すぎても、ちょっと困るんだよなぁ。まあ、これは贅沢な悩みだけど。んー、どうしよう。『王として崇められているであろうトウシ』をおちょくりにでもいこうかなぁ」


 『トウシが王』で、『センエースは何者でもない』という『センエース的に理想』の『平和で完璧な世界』になっていると、無邪気に信じて疑っていないセン。


 ルンルン顔で、


「とりあえず、ゼノリカの面々が、俺を見たらどういう反応をするか確認しにいくか。俺のことを完全に忘れているのか、それとも、多少は認識できているのか。 ――誰も覚えていないけど、シューリ、アダム、ミシャ、の三人だけは、俺のことを、ちょっとだけ思い出す……みたいな流れだと、だいぶエモいなぁ。そういうエンディングだったら、いい最終回だったと胸を張って言えるんだが、どうだろうか」


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