5話 自由になるの。
5話 自由になるの。
「……きているね……目覚めようとしている。わかるよ、セン君。君は……今から、遠いところにいこうとしている」
「みたいだな……こみあがってくるのを感じる。……今日までに積んできた全部が、沸騰している……そんな気がする……」
「君の全部が花開く……そうして『完全なる存在になった君』を……俺は超えるんだ……それが、本当のフィナーレ」
強い宣言をしてくる蝉原に、
センは、
「……ナメんなよ、蝉原……」
とことん上から、
「俺が今から届く世界に……お前の居場所はねぇよ」
蝉原の強い宣言が霞むぐらい、
とことん強い言葉で世界に釘を刺していく。
……センエースは、今日まで、ずっと積んできた。
バカみたいに、アホウのように、狂ったように、
誰にもマネできない最果ての領域で、ずっと、
ひたすらに、延々に、
狂気の努力を積み重ねてきた。
それだけじゃない。
センエースという名の尊き神は、
この世の誰よりも深く傷つきながら、
ありえないほどの地獄を積んで、
それでも、折れることなく、弱い命のために、その身を削り続けた。
誰にもマネできない。
マネできてはいけない献身。
今、そんなセンエースの献身を受けてきた者たちの祈りが、臨界点を超えた。
繰り返してきた業。
病的なほどの献身。
多くの命を愛して、多くの命に愛されて、
そして――
センエースは――
それがゆえに――
だからこそ――
しかして――
すべからく――
――自由になるの。
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「――/\☆*【【永久閃光神化】】*☆/\――」
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ここではないどこかの外。
とてもまばゆい雷の円環。
破格に美しい結晶だった。
ビロードのような流星群。
うた歌いのファフニール。
星彩を喰らうバハムート。
魑魅魍魎を背負う阿修羅。
風光る喜びが儚げに舞う。
まるで命の陰影みたいに、
虚しくて朧げで、なのに、
どこかで凛とクッキリと、
格調高い雪景色みたいに、
旧い神画の綺羅星が如く、
風流な月明かりみたいに、
どこまでも、壮麗典雅に、
キラキラと、輝いていた。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「……っっ」」」」」」」」」」」」」」」」
――すべての命が、センの輝きに、目を奪われる。
恍惚を超えて、もはや罪悪を感じる。
これほどの『喜び』が他にあるだろうかと心酔。
……センエースがたどり着いた『輝きに満ちた今日』は、
――固有神化の向こう側。
この上なく深き、命の到達点。
『最終固有神化』。
『本物』を積んだ神だけが辿り着ける極地中の極地。
センエースを中心として、世界が、頭おかしいほどの輝きに包まれる。
これまで、センエースを縛っていた、『いくつかの縛り』が砕け散る。
完璧なる神――真に『全てを導き包み込む光』に到るための階段を駆け上がる。
その、あまりにも『荘厳さ』が過ぎる『異次元の光』を目の当たりにした蝉原は、
「……へっ、ふへへ……」
うまく笑えていなかった。
どうにか、少しでもニヒルに笑いたかったのだけれど、まったくもって、うまいこと笑えない。
センエースが届いた世界は、蝉原の想像を大幅に超えていた。
まさか、ここまで大きくなるなんて、予想できるはずがなかった。
蝉原は、気付けば、涙を流していた。
心が激烈に高揚している。
ぐんぐんと、感情が膨れ上がっているのを感じる。
究極の芸術に心を撃ち抜かれた者の瞳。
世界で一番美しい夕焼けでも見つめているかのような表情。




