表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1209/1228

110話 復讐。


 110話 復讐。


「バカだね、セン君。田中トウシのことなんか放っておけばいいのに。田中トウシを復活させたせいで、君の生命力は最大時の1000分の1にまで落ちている。ソレなら、流石に俺でも君を殺しきれるよ」


「そうだな。流石にここまで生命力が削られた状態だと、お前に勝つのは厳しいな」


 そこで、センは、苦しんでいる民衆を見て、


「まあ、それはそうとして、お前、マジか? こんなに、豪快に、約束を破るとかある? 嘘だろ? え、いやいや、蝉原さんよぉ……ちゃんと、約束したよね? お前と俺、互いの誇りをくさびにして、きっちりと契約を交わしたよね? なのに、なんで、約束を破った? これ、ダメだよね? これ、お前 この約束を破るってことは、お前の誇りが、マジでチリボコリになっちゃうってことなんだけど? いいの? よくないよね? 俺たちの約束って、死んでも破れない系のアレだよね? なのに、マジでなんで――」


「ごちゃごちゃうるさいよ、セン君。さっきも言ったけど、俺には、君との約束なんかよりも、はるかに大事なものがあるんだ」


「なんだよ、それ」


「復讐だよ、セン君。俺は君を許さない」


「どっちかって言ったら、それ、俺のセリフだと思うんだがね」


「そんな悠長なことを言っている場合かな? いま、殺し合ったら、普通に俺が勝つよ? やばいんじゃない?」


 そこでセンは、民衆には聞こえないよう、蝉原にテレパシーで、


(で、どうすりゃいいんだ? どうすりゃあ、お前は王をやってくれるんだ?)


(この期に及んで、まだそんなことを行っているのかい? やらないよ、王様なんて。俺の趣味じゃない。王様は、体制側のトップで、俺は反体制側のトップだよ。水と油だ)


(頼むよ、蝉原くん。いや蝉原さん。俺の一生のおねがいだ。完璧な王になってくれ)


(そもそも俺の方から提案しておいて、なんなんだけど……なんで、そんなに頑なに、俺を王にしようとしているのか、理解に苦しむよ)


(まず、俺がやりたくないってのが一つ。あと、もう一つは、蝉原勇吾が、俺の思っていた以上に天才でバケモノで、そして何より鉄人だったから)


(……)


(3兆をガチで積んだんだろ? 無能な俺の200兆より、『超天才の3兆』の方が、遥かに価値がある。……おめぇはすげぇよ、たった一人でよく頑張った。お前なら、完璧な王になれる。少なくとも俺よりも出来がいい王になれるのは間違いない。とりま、『悪すら飲み込むことができる』って点が、とにかくハンパねぇ。お前にしかできないことがある……てか、お前ならできる。だから頼む。復讐したいってんなら、俺をとことんなぶり殺しにしてくれてもいいから、王をやってくれ。理想の世界を作ってくれ)


(……ふふ)


 鼻で笑ってから、

 蝉原は、右手の拳を、センの目の前で、ぐりぐりぃっと強く握りしめる。

 すると、

 耳をつんざくような、世界中の人間の悲鳴の声が響き渡る。


「おい、蝉原。やめろ」


「止めたいなら、俺を殺しなよ、セン君。純粋な話さ」


 そう言って、さらに強く拳を握りしめる。


 さらに大きくなる悲鳴。

 センは一瞬で沸騰し、

 距離を殺すと同時、

 蝉原の顔面に拳を叩き込み、蝉原の右手首を掴むと、強く握りしめて、蝉原が右手の拳を握りしめることができないようにする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ