104話 たかが『民衆からの憎悪』など、センは何も感じない。
104話 たかが『民衆からの憎悪』など、センは何も感じない。
「俺以外の誰がどれだけ苦しもうが知ったことか! 俺が可愛いがっているのは俺の感情論だけ!! お前らのことなんかしらぁぁぁん!!」
冗談には思えないテンション。――『この発言は嘘ではない』と誰もが思った。
ゆえに、『全人類(センを正しく知らぬ民衆)』の憎悪が膨らむ。
そして、膨らんだ憎悪が、蝉原に届く。
「おっと、リスナーからのメッセージが届いているね。――『ふざけるな、ゼノリカの王なら、私たちを救え』だってさ。どうするセン君。愛すべき民衆の命令通り、人類の犬として、可愛く尻尾を振るかい?」
そんな蝉原の挑発的な言葉に対し、
センは、
「はぁ、やれやれ」
あきれ混じりに、小馬鹿にするようなタメ息をついてから、民衆に対し、
「聞こえているか、ゴミども。俺は命の王センエース様だ。ハッキリ言っておくぞ。お前らの命は俺のものだ。俺のものも、俺のもの。この世の全部が例外なく俺のもの。お前らは俺の養分。それ以外の何物でもない。俺のナイトメア・ジャイアニズムに隙はない」
とことん煽り散らしていく最低神センエース。
そんなセンに、
蝉原が、民衆には届かないよう、
テレパシーで、
(いやぁ、セン君。恐れ入るよ。まさか、君に罪をなすりつけようとしている俺のサポートを、とうの君が全力でやってくれるとは)
(お前のサポートなんかするか。俺はホンネをぶちまけているだけだ。そして、俺は俺にとってメリットがあることしかしない)
(くくく、さすがだねえぇ。君は本当にブレない男だ)
脳内会話を繰り広げている間も、
センは民衆からヘイトを買うことをやめていない。
全力で遠慮なしにヘイト買いまくることで、
『センエースが背負う重さ』がましていく。
民衆に憎まれれば憎まれるほどに、呪い返しのように、センの全てが重くなる。
全人類からの憎悪。
普通なら動けなくなるところだが、この程度の重荷は、センにとって、後期ベジ◯タにとっての十倍重力と大差ない。
――たかが『民衆からの憎悪』など、センは何も感じない。
何も感じちゃいないのだが、しかし、センは、『動きが鈍くなったふり』をして、蝉原から、あえて、ボコボコにされる。
民衆は『センがボコボコにされると、体が楽になる』ので、大半が全力で蝉原を応援する。
蝉原を応援している民衆に躊躇はない。
良心の呵責などない。
大半の者が『センを憎むことこそが正義だ』と誤解しているから。
その様子を尻目に、とうのセンは、心の中で、
(ゼノリカのメンツは、もう仕方ないが……一般民衆の中でも、まだ何人か、『俺を憎むのに抵抗しているバカ』がいやがるな。まったく、愚かしい。この期に及んで、何考えてんだ、バカが。論理的に考えるってことができねぇのかよ。俺みたいなカスは普通にゴミ扱いすべきだろ。意味わからん、マジで)
センは本気で苛立っていた。
仕方ないので、さらに、センは、
民衆に向かって、
「おいごらぁ、くそどもぉ! さっきも言ったように、蝉原を応援するのは勝手だがなぁ! 俺が勝ったあかつきには、蝉原を応援していたやつ、全員、殺すからなぁ! ただ殺すだけじゃねぇぞ! 一族郎党皆殺しだ! 女は犯し、男は拷問する! ガキはミンチにして、親に食わせる! それが嫌なら、蝉原を応援するのをやめやがれぇ!」