表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1198/1228

99話 悪神センエースを倒して、瘴気を消してあげるから、俺を応援してね。


 99話 悪神センエースを倒して、瘴気を消してあげるから、俺を応援してね。


「俺のことはともかく、センエースを知っているものは多いだろう。君たちの王だ。実在すると知らなかったものも多いだろう? そして、信じていなかった者が大半だろう? 聖典教信者には朗報。無神論者諸君には凶報。センエースは実在する」


 蝉原は、続けて、


「君たちの王センエースと戦っている、この俺は、君たちにも分かるように言うと、強さの結晶だ。最強という概念の親玉だと思ってくれたらいい。今、センエースは、『自らの最強』を証明するため、俺という最強神を殺そうと躍起になっている。だが、勝てない。センエースでは足りない。俺には絶対に勝てない。俺の強さが100だとしたら、センエースの強さは20ぐらいだ。センエースは、その80の差を埋めるために、自分の財産である君たち臣民を使うことに決めた。いま、世界中が、謎の瘴気に覆われていることだろうが、これはセンエースが力を求めた結果である。瘴気を介して、君たちの生命エネルギーをセンエースが奪い取っている。全ては俺に勝つため。浅ましいことだ」


「おいおい、随分と性悪なホラをかましてくれるじゃねぇか。瘴気を展開してんのはてめぇだろ」


「センエース。君はそう言うしかないだろう。自分の欲望のために、配下の生命を脅かしているなど、認められるわけがない」


「ほーう、そうくるか。なるほど。うまい手だ。流石の狡猾さだぜ、蝉原。おそれいる」


 ここでセンがムキになって反論したところで、真実がどっちであるか、判断する術を、民衆は持ち合わせていない。

 蝉原とセンエース、それぞれの人柄を正しく理解している者であれば、悪意の権化である蝉原の言葉を信じることはないだろうが、しかし、現状、おおくの民衆は、どっちのこともよく知らない。

 だから、判別しようがない。

 民衆は、歴史の授業や聖典で『センエースは高潔な神である』と、散々叩き込まれているが、『叩き込まれてきたが故に懐疑的になってしまっている』という、厄介なディスアドバンテージも抱えている。

 根本的な前提の話をすると、マブタの裏にうつっているこの男が、本当にセンエースかどうかも正式にはわからない。

 

「今、世界を覆っている瘴気は、君たちがセンエースを憎悪することで薄くなる。そして、俺がセンエースを殺すことに成功すれば、完全に除去できる。というわけで、さあ、みんな、俺を応援してくれ。俺たち神は民衆の信仰を武器にできる。君たちが俺を応援すれば、俺という最強神は、より強化され、センエースという悪神は弱体化される。ゼノリカは美しいが、センエースは醜い。その現実を、どうか受け入れてくれ」


「……別に応援が欲しいとは思ってねぇし、蝉原を応援したいなら止めはしないが 一応、反論しておくと、蝉原が言っているのはデタラメだ。瘴気を展開しているのは蝉原だから、俺が死んでも、瘴気は消えねぇぞ」


 と、申し訳程度の反論をかましていく。


 そんなセンに、蝉原は、民衆に聞こえないよう、センだけにつないだテレパシーで、


(セン君、俺は、ここまでに、たくさんのデタラメを吐いてきた訳だけれど、『民衆が君を憎むほどに、瘴気の濃度が薄くなる』というのだけは本当だよ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ