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97話 ホロウワールド。


 97話 ホロウワールド。


「……俺の戦闘力が、もう少し、目に余るゴミだったら、まだ、君が俺を削り切る可能性もあったけれど、俺も、一応は本物の3兆年を積んでいるから、君の攻撃を最低限処理することがギリギリできなくない。こうなってくると、君の攻撃力じゃあ、永遠をかけても俺を殺せない。まあ、ソレはこっちも同じなんだけどね。俺ごときじゃ、君を削りきれない」


「一生、テメェと、終わらない『泥仕合ダンス』……そんな終わっている『未来ハードラック』は流石に勘弁だな」


「そうだね。そんなみっともない退屈は、俺達の闘いにふさわしくない。……だから、だいぶトリッキーな技を使わせてもらうことにした」


「ほう……なんかイヤな予感しかしないから、できればやめて欲しいところだが……頼んでも、やめてはくれないだろうな」


 などと、普通の弱気を見せつけていくセンの発言をシカトして、

 蝉原は、右手を天に向けると、


「ホロウワールド」


 と、なんだか『ヤバそう気配』がハンパない技を使いくさりやがった。

 ただ、別に、この空間内においては、何も起こらない。


 警戒しつつ、周囲をきょろきょろしているセン。


(どういう技だ? 名前的に、空間系っぽいが……)


 などと思っているセンに、

 蝉原は、


「このホロウワールドという魔法は、俺の完全オリジナル。簡単に言えば、指定した世界全域を凶悪な瘴気で覆う鬼畜な悪意」


「暴露が足りねぇぞ。あんまよくわかんねぇ。もっと、こう……幼稚園児にも伝わるぐらい、丁寧に噛み砕いて暴露ってくれ。俺は頭が悪いんだ。謙遜とかじゃなく、ガチでちゃんとバカなんだ。それを踏まえた上で教えてくれ」


「第2~第9アルファに存在する全ての生命が、今、『そこそこの病』にかかった。その苦しみは、時間と共に膨らんでいく」


「非常にわかりやすい暴露、感謝だ。しかし、魔法の内容に関してはいただけねぇな。俺とお前のダンスに、関係ないヤツを巻き込むなよ。無粋すぎるだろ。今すぐ解除しろ。代わりに2・3発、殴られてやっから。そのぐらいのハードラックは許容してやっから、な」


 そんなセンのお願いを、蝉原は完璧に無視して、


「今はまだ軽い風邪ぐらいだけれど、ここから徐々に濃度を上げていけば、最終的には、サイコジョーカー級の、地獄の苦しみになる。まともな人間なら耐えられない苦悩、最終的に、大半が発狂するだろう」


「……めちゃくちゃ言ってんな。やれやれ、わかった、わかった。……5・6発殴られてやるから、解除しろ。な。いい子だから。300円あげるから」


「俺は全ての命に徹底的に苦悩と絶望を与える。『深い絶望とともに、理不尽な苦悩を突きつけられた命』の『中心』には、強烈な負の感情が芽生える。純粋な復讐心、やるせなさからくる自制心の崩壊、自分を救ってくれなかった世界に対する憎悪。ソレら全てを、俺は祝福し、受け入れる。心に闇を飼う全ての命を、俺は俺の器にする。……悪人はいくらでも作れるんだよ、セン君」


「お前がコントロールできるのって、『産まれついての純粋な悪人』だけじゃねぇの?」


「そんな変態はレアだよ、セン君。大概の悪人ってのは、後天的に形成される命の歪みの結晶。大概の人間は、心に天使と悪魔の両方を飼っている。違いなんて、どっちに揺れるかだけ」


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