79話 パワフルでセクシーな、この豪快なリッチさは……確かに、100兆年単位の年代モノと言えよう!
79話 パワフルでセクシーな、この豪快なリッチさは……確かに、100兆年単位の年代モノと言えよう!
(間違いなく厚みが増している。ただごとじゃない成長。……この『ぶっ飛んだ厚み』は、100万や1000万程度で手に入るものじゃねぇ。俺は詳しいんだ)
200兆年を積んできた『キチ◯イソムリエ』のセンさんは、もはや、軽く武を交わすだけで、相手がどの程度のキ◯ガイか見分けることが可能……という自負がある。
あくまでも自信があるだけで、完璧な見極めは出来ないが。
(インパクトのあるシャープなアタック……限りなく透明に近い、クリスタルのような清涼感……そして、この豊潤なボリューム感……ビロードのようでいて、しかし、どこか荒々しいタンニン……フルボディのコクは、まるで絡みついた蛇のように複雑で、鋭い余韻が鮮やかに香る。レモニーでありながら、クリーミーなストラクチャー、パワフルでセクシーな、この豪快なリッチさは……確かに、100兆年級の年代モノと言えよう!)
ちなみに、言うまでもないが、センは、めちゃくちゃテキトーなことを言っているだけ。
ゆえに、当然のように、その推測は『歴史に残る大はずし』におちつく。
……蝉原は、3兆年しか積んでいない!
100兆とかむりむりぃ!
「蝉原ぁ! 褒めてやるぞ! 『美しい終焉がどう』とか言う、ちょっと何言っているかわかんないアホな意見はともかくとして、お前が積み重ねてきたものは事実、アホほど美しい! 俺はお前を認めたね。お前は本物だ! その本物の深みに敬意を表し、俺の本気を見せてやるよ」
そう言うと、センは全身に魔力とオーラを集中させて、
「みるがいい! これが俺の全力だ!」
そう言いながら、
「究極超神化3!! 真醒・究極超神化7!」
と、今の自分に可能な、
『そこそこのダブル神化』を決め込んでいく。
口では全力と言っているが、しかし、最初からフルスロットルをかますような、『ペース配分が死んでいる愚行』は犯さない。
ガチで蝉原が100兆年を積んでいるとしたら、かなりの泥試合になることが予想される。
イメージとしてはマラソン。
大事なのは、『スパートをかけるタイミング』を見極めること。
最初から全力ダッシュで体力を無駄遣いするのはただのバカ。
つまり、現状のダブルは、あくまでも、『アイドリングの初手としては全力』といった感じ。
体が温まるまでの調整。
ゆえに、その輝きは、だいたい、『7兆年を積んだ時のマックス』と同等ぐらいの状態。
だから、蝉原は、
(む……想定よりも、いくぶんか大きい……)
普通に動揺する。
額に汗が浮かぶ。
――が、
(大きい……が、対処できないレベルじゃない……これなら、どうにかなる)
最初こそ動揺したものの、
すぐに冷静になって、
「さすがだ、セン君。君はいつだって、俺の予想を超えてくる」
「お前もそうだよ、蝉原。まさか、俺以外の人間で、兆を積める奴がいるとは思っていなかった。『常軌を逸した時間との触れ合い』は、俺だけの特権だと自惚れていた」




