73話 ついに主役の出番か?!
73話 ついに主役の出番か?!
「MP型センエースの死体×1000を生贄に捧げ、『ドラグナイトセンエース』を召喚! ……してきたらしいで」
「――『らしいで』って言われても こっちは、まだMP型センエースがどんなもんかすらわかってねぇのによぉ。主役を置き去りにして、話をどんどん先に進められても困るなぁ」
などと、センが不満をあらわにしていると、
そこで、田中が、さらに報告を受けたようで、
「――え、あ、ソレはあかんな」
「どうしたぁ! 事案かぁ?! ついに俺の出番かぁ?! 仕方ねぇなぁ! ったくよぉ! しゃらくせぇ! てやんでぇ!」
「ドラセンは、普通に存在値『2京』を超えとるらしくて、配下連中では対応できんっぽい」
「なかなか見所のあるハシャぎっぷりじゃねぇか! 気に入った! 殺す!」
そう言いながら、アップを始めるセンエースさん。
ちなみに、まだまだ、魔力もオーラも使えない。
「座っとれ、センエース。今のお前には何もできん。ワシがいく」
「よっ、さすが、ゼノリカの王! もう全部、お前1人でいいんじゃないかな!」
この期に及んで、まだ、田中に、『ゼノリカの王』を押し付けることを諦めていないセンエース。
そんな『アホの子』に、トウシは、
「呪縛ランク25000」
「どわっ、何すんじゃい!」
『動きを封じる魔法を使った田中』に怒りをあらわにするセンエース。
「今のお前にウロチョロされると、いろんな意味でだいぶ迷惑なだけやから、動けんようにさせてもろた。2京ぐらいやったら、ワシ1人でもなんとかなるから、お前は、そこを動くな」
そう言って、田中は、ベッドの上に、『名状しがたい、ビー玉のようなアイテム』を置いてから、瞬間移動で、この場を後にした。
残されたセンは、
部屋の中で、一人、
「うぎぎ ウギギギギ ゼェ、ハァ……」
ポツンと、孤独に、魔法に抵抗しようと頑張る。
どうあがいても、抵抗できない、
そんな状態の中で、センは、一人、
「いやいや、田中さんよぉ こんな、強烈に縛る必要あったかな? 『ちょっと動けなくする』とかでよくなくない? まばたき一つできなくて、めっさしんどいんですけど」
などと愚痴りながら、
それでも、どうにか呪縛をぶった斬ろうと、独りで奮闘していると、
そこで、田中が残した『名状しがたいビー玉のようなアイテム』がセンの前までコロコロと転がってきて、
一度、ペカーっと光ると、
センの目の前に、エアディスプレイが表示される。
そのエアディスプレイに映し出されているのは、『田中トウシ』と『龍っぽいセンエース』の激闘。
瞬間移動と同時に、
ドラグナイトセンエースに殴りかかった田中。
純粋な暴力で圧力をかけていくトウシと、
その猛攻に焦っている様子のドラセンさん。
二人の武の交わりを、数秒だけ確認したセンは、
無表情かつフラットに、
「……トウシさんの勝ちだ」
ボソっとそう呟く。
決して、トラン◯スネタやりたかったわけじゃない。
いや、ネタがやりたかったと言うのもあるのだが、それだけじゃない。
「俺案件かと思ったら、アホのトウシだけでも余裕じゃねぇか。……『ゼノリカだけでも余裕で、顔すら分からないまま殲滅したMP型センエース』に……『トウシ単騎で楽勝の、フルボッコにされているドラゲナイ』……随分と、しょっぱい敵ばっかり出てくるな」




