53話 がんばれ、センエース。お前が『学級委員長(命の王)』だ。
53話 がんばれ、センエース。お前が『学級委員長(命の王)』だ。
「何ヘラヘラしてんだ! 助けろっつってんだろ! こんなに弱った状態の俺を鼻で笑うとか、お前、情緒どうなってんだ!」
「ワシの視点では、お前のほうこそ、情緒どうなっとんねんと強く想うけどなぁ。お前、ほんま、おかしい」
田中は、恐ろしく長い間、センエースと時間を共にした。
毎回、記憶が途切れてしまうとは言え、150兆年の間、ずっと、センと対話をし続けた事実に変わりはない。
『ループのたびに頭に流れ込んでくる記録(記憶)』には、ソレなりに細かく、センの言動が刻まれている。
センエースが何を想い、これだけの絶望と向き合っているか、朦朧としてこぼれた言葉の端々から、伝わってきた。
田中はそれを毎回、丁寧に、自分の奥へと刻み込んでいる。
毎回、毎回。
あるいは、『持続し続ける地続きの記憶』よりも、20年ごとに、毎回毎回、『心が震えるほどの復習の機会』がある記憶の方が、より深く、魂に刻み込まれるような気もした。
田中は、自分という概念が、
センエースのライバルで『あり続けること』を、『世界から求められている』ということを、正式に理解している。
センエースのパーツとして、『世界で一番優秀なCPU』であり続けなければいけない、と理解している。
時にはセンエースを大幅に超えた存在として、センエースを導かなければいけないと言うことも理解している。
そんな立場であるが故に、
『常に、センエースとは対等でなければいけない』、
ということも、重々理解している。
――だが、田中は、ループのたび、センエースの記録を脳に刻み込むたびに、『センの足元にひれ伏したくなる』という、とてつもなく強い衝動に駆られていた。
尊き王の威光に触れられる喜びに打ち震えて、魂の底から溢れ出る喝采を浴びせたいと、そんなことまで思ってしまう始末。
鋼の精神力で、どうにか自分を律しているが、気を抜けば、いつでも、反射的に、狂信者としてのイカれた行動をとってしまいそうで、いつもヒヤヒヤしていたり。
「センエース。この上なく尊き命の王よ」
そこで田中は、目に力を込めて、
いつも通り、
ちゃんと自分を律しながら、
しかし、全力の思いを込めて、
「お前以外が、その称号を名乗ることをワシは、生涯、許さへん。お前が……お前だけが、ソレを名乗れる」
「なんじゃい、急に。気色悪いな。死にさらせ」
と、照れ隠しと呼んでいいのかわからない、『とても王とは思えないクソ発言』をかましていくセンに、田中は、まっすぐに、
「がんばれ、センエース。お前が『学級委員長(命の王)』だ」
「違う。俺はゴミ係だ。最悪でも図書委員が限界だ」
「HR仕切り、集合時点呼、授業前後号令、各種行事における会議への参加、企画・進行、教師のパシリ、クラスメイトの嫌われ役、諸々、全部任せた」
「改めて考えると、ガチで、絶対になりたくないな、学級委員長。あれは、もう、学校公認の公式なイジメだろ」




