51話 固有神化という下地なしで複数神化するんは、アホの極みやねん。
51話 固有神化という下地なしで複数神化するんは、アホの極みやねん。
「んー これは、基本的に隠しておく予定やったんやけど……まあ、でも、すでに150兆年も頑張ってるし……もう、教えたろうかな……」
「だから、なんだよ」
「実は、固有神化を挟んだ方が、複数神化って、安定すんねんなぁ」
「……ふぇ?」
「というかなぁ……実は、固有神化という下地なしで複数神化するんは、アホの極みやねん」
「……お前、だいぶ前に、『固有神化ベースやとコントロールがしんどい』っつってなかったか?」
「あれは嘘だ」
「……なんで、俺のまわり、嘘つきしかいないの?」
「お前も嘘つきやからやない?」
「……(´・ω・`)」
ショボーンの顔になったセンに、
田中は続けて、
「固有神化なしやったら、流石のワシでも、トリプル以上の運用は無理。固有なしのトリプルは、目ぇ閉じた状態で、手を使わんとルービックキューブの世界記録を目指すみたいなもん」
「……」
「そんな、地獄みたいな状態で、それでも『まともに運用すること』が出来た場合……お前の中の『複数神化を扱う』という器は、途方もない次元に届く。どっちみち、ループの下地にしとるから、どうあがいても固有神化は使えん状態やし、せっかくやから、『固有なしの複数神化難易度がエグいこと』は、黙っておいて、お前に『自分は田中と比べて、まだまだやから、必死に練習しよう』と思わせよう――という結論にいたった訳や」
「人様の大事な純情で遊びやがって。いい加減にしろよ、カスが。殺すぞ」
「遊んだんやなくて、お前の性格的に、本当のことを知らん状態の方が、より必死に訓練するやろうと思っただけ。予想通り、お前は、複数神化の扱いが、極悪に上昇した」
「……じゃあ、もしかして、あれか? 閃光神化を使えば……俺も、クアドラプル(四重)神化をうまく扱えるのか?」
「クインティプル(五重)神化も余裕やと思うで。どう考えも、『固有ありのクインティプル』より、『固有なしのトリプル』の方がしんどいから」
「……つまり、俺は、お前と比べて、圧倒的に才能がない、というわけではないと?」
「いや、ワシと比べたら、お前は無能や。えげつないぐらいの凡人。あえて言おう。カスであると」
「殺すぞ」
「才能だけで言えば、ワシよりもはるかに劣るというのに……それやのに、狂気の努力だけで、世界一の天才であるワシを置き去りにすることができる……その異常性こそ、命の王にふさわしい特質」
「……」
「頼むから、真実を知ったからといって、ここで立ち止まるなよ。どうせなら、もっと、遥かなる高みにいってくれ。ワシなんかでは届かんぐらいのところまで駆け上がれ。正直、もう、どんな敵が出てきても、余裕やろうけど、そんな、ぬるい事実はいったん横に置いておいて、お前という狂気が、どんな最果てまで行けるんか、それを、どうか、魅せてくれ」
「お前の頼みを聞いてやる義理が、俺には一ミリもない。だから、お前の望みを聞いてやる気は一切ない」




