50話 閃光神化は?
50話 閃光神化は?
「究極超神化7!」
『ここまできたら、ついでに』といったノリの軽さで、クインティプル神化を決め込んでいく蝉原。ここまでの1兆年の中で積み上げてきたGODポイントを、すべて、複数神化につぎ込んでいく。
クアドラプルでも、それなりに動けたので、
クインティプルでも、まあ、少しは動けるだろう、
と、タカをくくっていたが、
「おっと」
その場で貼り付けにあったみたいに動けなくなった蝉原。
肉体が負荷にビビッて、動けなくなった。
それほどの重たい出力の中で、
しかし、それでも、『軽妙にカッコつけたノリ』だけは崩さず、
「こりゃ、さすがに無理か。ははは」
と、余裕があるフリで世界を翻弄していく。
即座に、究極超神化7だけを解除して、
クアドラプルに戻すと、
「しばらくは、これでやってみようか。で、無理だったら、トリプルに戻すって方針で」
ニタニタ笑顔を崩さずに、
世界を睥睨して、
「さて、じゃあ、本格的に、複数神化の特訓をはじめるとしようか」
蝉原の進化は、ここからはじまる。
★
センエースの地獄旅が開始して、
合計、150兆年が経過した。
ここまで、センエースは、ずっと、『究極超神化3を下地にした真醒・究極超神化』のダブルやトリプルと向き合うことに必死で、その先を、まったく見据えていなかったのだが、ここにきて、ようやく、
「そう言えば、俺の閃光神化って、どうなったんだ? なんか、いつまでたっても使えないけど……」
「いまさら?!」
と、田中は、一度呆れてから、
「前の5兆の時も、今回の200兆のループも、お前の閃光神化が土台になっとる。閃光神化5を燃料に使ったから、5兆年を捻出できた。今は、『その先の可能性』を前借して、200兆年を捻出している感じ。せやから、ループ中に、お前の閃光神化が開くことはない」
「まじかよ」
「ただ、借りとるだけで、奪ったわけやないから、いずれ取り戻せるし、それに、ループしとる間に、裏ですくすくと育っとる。今、閃光神化7まで成長しとるぞ」
「マジかよ。知らん間に7になってるとか。育て屋に預けてる状態みたいだな。努力値が入らねぇから弱そう……あと、勝手に技とか変更させられてそう。頼むから、せっかく覚えさせた『10まんボルト』を、『しっぽをふる』や『にどげり』みたいなカス技で上書きしてくれるなよ……」
「閃光神化7を ひきとるなら りょうきんは 1700京円 だよ」
「たっかいなぁ。てか、俺が貸しているんだよな? 料金を取るの、おかしくね?」
「ただの冗談や。ループが終われば、勝手に戻ってくる」
「え、待って。ループが終わった後に戻ってこられても、練習する時間がないんだが? 閃光神化が、最終的に7からどこまで進化するか知らんけど、仮に、8とか9とかになっていた場合、そんな、しんどそうな神化を使った複数神化は、数百兆年単位で練習しないと、使い物にならないんじゃね?」
「ああ……えっと……実はやなぁ……」
「なんだよ。その、何か隠していそうな顔は」
「んー これは、基本的に隠しておく予定やったんやけど……まあ、でも、すでに150兆年も頑張ってるし……もう、教えたろうかな……」
「だから、なんだよ」
「実は、固有神化を挟んだ方が、複数神化って、安定すんねんなぁ」




