43話 センエースの永い旅も、だいぶ遠いところまできていた。
5年連続毎日2話投稿記念、
コミカライズ版センエース、
「まんが王国」「コミックシーモア」「eBook japan」で配信されている記念、
1日10話投稿!
6話目!
43話 センエースの永い旅も、だいぶ遠いところまできていた。
蝉原は頑張った。常識的な視点では、最高クラスの結果を出した。爆発的な喝采と賛美を浴びてしかるべき成果を上げている。――だが、『競っている相手』が悪すぎたせいで、『しょぼいな、こいつ』という、非常に可哀そうな相対評価に落ち着いてしまった。
ソルは、『センエース』を知っている。
センエースが、今、どういう状態にあるかを知っている。
ゆえに、
(やっぱり、蝉原じゃダメだったか……)
普通に落胆する。
しかし、『最後まで付き合う』と決めてしまったし、
それに、
(センエースが『異常過ぎる』というのが問題であって、蝉原がゴミすぎるというわけでもないか……そもそも、コピー体を使ったところで、ここまでこられるか分からないしな……)
センエースのコピー体は、一般人と比べれば、確実に優れた根性を持つのだが、『オリジナルほどの異常性』は、オリジナル以外では発動しない。
コピー体も、けっこうしっかりと頑張るのだが、
しかし、蝉原とどっこいか、それ以下ぐらいの性能でしかないのも事実。
色々と、多角的に思案した結果、
(2兆年ではダメだった。ようするにはそれだけの話……よし……3兆年にしよう)
などと、ソルが、とんでもないことを考えているなどとは、
夢にも思っていない蝉原さん。
ダブルに覚醒した高揚を振り回しながら、弟子たちと元気に戦っている。
頑張れ、蝉原。
正直、お前がセンエースに勝てるとは一ミリも思えないけれど、
でも、まあ、うん、頑張れ。
★
――センエースの永い旅も、だいぶ遠いところまできていた。
折り返しである100兆年を超えた時、センエースのトリプル運用技能は、なかなかの領域に辿り着いていた。
センエースは、恐ろしく強くなっていた。
強くなった……が、
その分だけ、心は摩耗している。
100兆年という、実質永遠の地獄。
センエースの魂魄は、もう、見るも無残なボロボロの状態。
なんで灰になっていないのか、本当に分からない、という極限状態。
ここまでは、どうにか、躁鬱乱高下、情緒ジェットコースター、そんなこんな、もろもろ、あれやこれや、ゴタゴタ、すったもんだ、ありながらも、どうにか、こうにか、ギリギリ、表面張力的に正気を保っていたセンエース。
ただ、ついに、限界の目前まできたようで、
「ぐぎゃがやが【やが《やがやが「「やあやあややややや「やあ」ああああああああああ」あああああああああああ」」ああ》ああ】あああ」あ」
心の崩壊は、もう目の前。
『200兆年の地獄ぐらい、自分なら、たぶん耐えられっしょ、知らんけど』と、だいぶファニーにタカをくくっていたが、想像するのと実際にやってみるのとでは、やはり、えらい差があった。
兎にも角にも、えげつないキツさ。
浮き沈み、ずっと背負ってきたが、回数を重ねるごとに、沈み率が増加している。
当たり前の話。
疲労は蓄積された分だけ指数関数的に重くなっていくもの。
そうでなくとも、5連勤と200連勤では、心にのしかかる負担の荷重レベルが違う。
「ああああああああああああああああああああああああああ」
 




