42話 競っている相手が悪すぎる。
5年連続毎日2話投稿記念、
コミカライズ版センエース、
「まんが王国」「コミックシーモア」「eBook japan」で配信されている記念、
1日10話投稿!
5話目!
42話 競っている相手が悪すぎる。
「9035億か……ふふ……しかし、まあ……随分と遠いところまできたねぇ……頭のおかしい数字だ……よくもまあ、こんな地獄に耐えられているものだと、自分に感心するよ」
「耐えられているわけではない。何度も再生させているだけのこと。もし、灰化無効でなければ、貴様は、これまでに、3兆回以上、灰になっている」
「それだと、年3回ぐらいのペースで灰化していることになるけど? 俺のソウルゲート耐性って、確か250万年じゃなかった?」
「特別な負荷がない状態で、かつ、『心身気合い』が完全の状態で挑んだ際の限界の上振れ値が250万年というだけ」
「……あ、そう。まあ、なんでもいいけど」
そう言いながら、蝉原は、一度、
うーんと、背伸びをして、
ずっと使っていた『極蟲神化』を解除する。
急に固有神化を解除した蝉原に対して、
今まで、ずっと戦っていた弟子たちが警戒心を見せた。
そんな彼・彼女らの反応をシカトして、
蝉原は、自分自身の奥へと没頭する。
「究極超神化3」
急に、出力の低い神化を使う蝉原に対し、
ますます、弟子たちの警戒心が増していく。
蝉原は、
グっと、全身に気合いを入れて、
「――極蟲神化――」
究極超神化3というベースの上に、
固有神化の『極蟲神化』を重ねていく。
「……不安定だな……あまりにも……けど、まあ……しばらく練習していたら慣れるだろう……」
そうつぶやくと、
蝉原は、弟子たちに突貫を決めこむ。
出力は上がっているが、動きが粗いので、
弟子たちは、ギリギリ、対応できていた。
――そんな、蝉原と弟子たちの戦闘風景を見ながら、
破壊衝動ソルは、
(9000億年もかけて、ようやくダブル……真醒・究極超神化にも届いていないし、究極超神化8も『3段階目』に届くかどうかといったところ……想定を大幅に下回っている……目標としては、1兆年に到達した段階で、真醒・究極超神化3を鍛え終えて、8も『インフィニット(17段階目)』に届いているといのが理想だったんだが、あと1000億年で、その領域まで届くわけがない……)
蝉原の成長速度は、実のところ、えげつないし、根性もハンパない。
ただ、ソルは、あろうことか『才能は蝉原、根性はセンエース、というエグい基準をもとにして計画を立てていた』ので、『まあ、1兆年もあれば、このぐらいは余裕っしょ』という、あまりにも甘すぎる見立てで2兆年という概算結果を出してしまった。
当然のことながら、蝉原の根性は、センエースの足元にも及ばないので、この9000億年の間、蝉原は、何度も何度も何度も折れまくって、その修理に、だいぶ時間と手間をとられた。
結果、計画は、かなりの遅れをとることになった。
とにかく、『蝉原の覚醒』の遅いこと、遅い事。
――とはいえ、それは、ソル視点での話でしかなく、
実際のところ、蝉原は、非常に頑張っている。
『灰化無効』という、『ボーリングで言えば、ガーター無効』みたいな初心者仕様状態だが、しかし、それでも、一応、『ちゃんと自分の足』で、ここまでやってきた。
ベースとなる究極超神化3をシッカリと鍛え、
固有神化の極蟲神化も、ゴリゴリに鍛え上げ、
その上で、その二つのダブル運用に成功した。
蝉原は頑張った。
常識的な視点では、最高クラスの結果を出した。
爆発的な喝采と賛美を浴びてしかるべき成果を上げている。
――だが、『競っている相手』が悪すぎたせいで、『しょぼいな、こいつ』という、非常に可哀そうな相対評価に落ち着いてしまった。




