39話 ほかの何よりも価値のある強さ。
5年連続毎日2話投稿記念、
コミカライズ版センエース、
「まんが王国」「コミックシーモア」「eBook japan」で配信されている記念、
1日10話投稿!
2話目!
毎日2話投稿という視点だけで言えば、
これで、5年連続完全達成(*´▽`*)
39話 ほかの何よりも価値のある強さ。
総合力・数値という点では、センは田中の足元にも及ばない。
できることの範囲、取れる戦法の種類、全てに置いて、センは田中よりも大幅に下回っている。
だが、センは、『スペック的にはるかに上回っている田中』とそれなりに戦えている。
「ダァあありゃァあああっ! 神速閃拳!!!」
70兆年以上かけて磨きに磨き抜いてきた、見えないジャブ。
裏閃流の要。
『優秀なコンボパーツ』として、『渋い小技』として、『鬼の起き攻め』として、『牽制の置き』として、『攻めの二択』として、時には『抑止の暴れ』として、
どんな場面でも頼りの一つになる、超絶優秀な最速ジャブ。
火力が低いことが、唯一の弱点だったが、異常な時間をかけて、弛まぬ努力を積んだ結果、神速閃拳の火力は、大幅に上昇した。
無数に繰り出す一撃一撃が、かつての『5兆年程度の積み重ねしかない時代の龍閃崩拳』と同等程度にまで底上げされている。
えげつない火力の連打を、もろにいただいた田中は、
「うぐっ……」
普通にクラっとして、ふらついて、自身を支えきれなくなって、その場で片膝をつく。
その様を見下ろしながら、
センは、
「ザマァないね、ふぅっ! ザマァないねっ! なーにが、クインティプル神化だ! 名前負けもいいところだぜ! 所詮、俺とお前じゃあ、命の格が違った。それだけの話よ! ふはぁぁはははっ!!」
「実際のところ、命の格はおどれの方が上なんやけど……ただ、そういう強い言葉は、完勝してから言うてくれ。常識的な前提として、すでに『50回ぐらい殺されとるやつ』が言ってええセリフやない」
それなりに戦えているのは事実だが、
『クインティプルを使っている田中の方が強い』のは確実。
その上で、田中サイドには、あらゆる方向性のサポーターが数十人単位で完備。
『タイマンでも勝てない相手(田中)』が、『パーフェクトサポート(配下たちの全力投球)』を受けている状態なので、当然、センに勝ち目などなく、何度も、何度も、ボッコボコに殺された。
70兆年もかけて、必死に頑張って、ようやく覚醒したと思ったら、大嫌いな天才が、自分を置き去りにした超絶進化を魅せつけてくるという湿度の高い地獄。
普通なら『やってらんねぇ』と投げ出してもおかしくない。
だが、センは歯を剥き出しにして、愚直に立ち向かう。
戦闘力だとか、存在値だとか、神化の種類だとか、
――そんな物よりも遥かに価値のある『強さ』を、
惜しみなく、世界に魅せつけていくセンエース。
「だだだだだだだぁぁっ!」
ここまで散々、地獄を乗り越えてきたセン。
しかし、センエースの地獄旅は、
まだ、折り返しも来ていない。
★
――蝉原が、『ここ』で修行を開始してから、9000億年が経過した。
ひたすらに、『弟子』たちと殺し合い続ける時間が続いている。
ずっと、ずっと、ずっと、『強くなり続ける弟子たち』と殺し合い続ける日々が無限に続く。
現状、蝉原の意識は、遠いところに行っていた。
壊れたフリすらできない領域で、絶望感だけに支配されている。
強制的に、ひたすらに積まされた時間の中で、蝉原は大きくなっていた。




