38話 私がセンエース大佐だ。
5年連続毎日2話投稿記念、
コミカライズ版センエース、
「まんが王国」「コミックシーモア」「eBook japan」で配信されている記念、
1日10話投稿!
1話目!
38話 私がセンエース大佐だ。
「言葉を慎みたまえ。君は神王の前にいるのだ!」
「言われんでも知っとる。お前こそが神の王。そんなもんは、言われるまでもなくわかっとるから、どうか、その肩書きに相応しい品格を見せてくれ、頼むから」
「君の正論には心底うんざりさせられる。天才さんの悪い癖だ。跪け、命乞いをしろ。三分間待ってやる」
「はぁ……しゃーないなぁ……」
と、呆れMAXのタメ息をついてから、
天才『タナカ・イス・トウシ』さんは、
それまでずっと使っていた『ダブル神化(天星神化7×真醒・究極超神化3)』の上から、
「究極超神化3! 真醒・究極超神化7!! 究極超神化8ぉおおおお!!! 」
と、神化を3つ追加していく。
トリプル、クアドラプルを超越した、
華麗なるクインティプル神化。
それを見たセンさんは、
「ぺ?」
と、パッキパキのアホヅラで、
とことん間抜けに、
鼻水とヨダレを垂れ流す。
「え、なんで……?」
「なんせ、70兆年もあったからなぁ。流石に、こっちも膨らむて。あと、ワシ、お前と違って、複数神化が得意と言うか、かなり才能があるみたいや。クアドラプルまでは、最初の20兆年ぐらいで、サクっとマスターできた。クインティプルは、流石に、なかなか時間かかったけどな。けど、まあ、どうにか、ある程度コントロールできるようになったわ」
「……」
「さて、ほな、お前も正式にトリプルが使えるようになったことやし、ここからは、ワシもクインティプルを使わせてもらう。ここからが本当の地獄やで、センエース」
「目がぁ、目がぁあああああ!!」
「現実から目を背けても、絶望の精度は変わらへんで」
★
田中のクインティプルは、出力はそこそこだったが、戦闘力の芯が足りなかったので、
「速いし、重いけど、なんだか、思ったよりは強くねぇな、田中さんよぉ」
「自覚してくれ。ワシが強くないんやなく、お前の戦闘力が異常なんや。絶望の中で、折れることなく磨き続けたお前の底力は常軌を逸した領域にある」
「ばかやろー、そんなの褒められても、嬉しくねぇよ、このやろー」
あえて例えるなら、田中は『球種の多い投手』になったと言った感じ。
七色の変化球をキレ良く扱える。
そのため、投球に厚みと広がりがある。
抜群のコントロールで、打者を華麗に翻弄できる。
対して、センは、直球とフォークしか使えないような状態。
戦術という点では皆無に等しい。
散らしたストレートで追い込んでから、ウイニングショットを落として振らせる。
以上。
あまりにも単純な戦法。
駆け引きもクソもない、徹底的な力技。
――いや、まあ、多少は駆け引きもあるが、田中のソレと比べれば、センのソレは、駆け引きと呼べる代物ではない。
総合力・数値という点では、センは田中の足元にも及ばない。
できることの範囲、取れる戦法の種類、全てに置いて、センは田中よりも大幅に下回っている。
だが、センは、『スペック的にはるかに上回っている田中』とそれなりに戦えている。
ソレは何故か。
例えのままにいうが、
センの場合、磨きに磨き抜いたフォークとストレートが、化け物級だから。
『戦法の豊富さや多角的な厚みなんか関係ねぇ』と言い切れるだけの圧倒的な『力強さ』が、そこにはあった。
愚直に磨き続けた一つ一つが、まるで、反逆のシンボル。




