37話 開花。
5年連続毎日2話投稿前夜祭記念、
コミカライズ版センエース、
「まんが王国」「コミックシーモア」「eBook japan」で配信されている記念、
1日10話投稿!
10話目!
とりあえず、前半戦終了!!
ついに、明日、5年連続毎日2話投稿が達成される!
37話 開花。
――アホほど繰り返した果てに、
『その日』は突然、訪れた。
「……あ……」
予兆みたいなものはなかった。
その日も、いつもと同じように、
ただただ絶望するだけの1日になるだろう、
と、半ば諦めていたのだが、
しかし、合計年数72兆年をこえた、
『ある日』の『ある瞬間』に、
それまでのノイズが嘘のように、自分の中で、
ガチっと、三つの可能性が噛み合ったのを感じた。
「なる……ほど……」
その、言語化できない超高次理解は、
これまでにも何度か経験したことがある。
『積み重ねてきた地獄』が、ある日、突然、一気に開花する現象。
センは、この日が来るのをずっと夢見てきた。
いつか、この日が来るはずだと信じて、
無機質で無味無臭の地味で地道な毎日を、
ひたすらに、アホみたいに、バカみたいに、
必死になって、積み重ね続けてきた。
「夢か? いや、夢じゃない」
あまりにも唐突すぎたため、
夢である可能性を考えたが、
――しかし、どうやら、現実らしいと理解できたことで、
「……折れずに頑張り続けて……よかった……」
あまりにも深い『超重量級の多幸感』のあまり、
センエースは、その場にへたり込み、
ボロボロと、嬉し涙を、これでもかと垂れ流す。
ちなみに、今は田中たちとの戦闘中。
急にボロボロと泣き出したセンのことを、
配下たちは、全員、気味悪がっている。
田中だけは、状況が理解できているようで、
「おっ!! きたか!! ついに、きたんか?!」
と、センエースの開花を理解して、
歓喜のガッツポーズを決め込む。
周囲の配下連中が、田中に、
『何がどうした?』
と尋ねると、田中は、
歓喜を隠さず、
「センエースがついに、トリプルをマスターした! 『72兆年もかけるとか、どんだけ才能ないねん、アホか』と思うけど、まあ、それは置いておいて、とにかく、今は、センエースが次のステージにたどり着いたと言うことを全力で喜ぼうやないか」
配下たちは、田中の言葉を理解しようと、必死に頭を回していたが、内容があまりにぶっ飛んでいるので、誰もが、口をぽかんと開けて、フリーズしていた。
そんな中、センエースは、
「俺の才能を蔑むような、極めて不愉快な発言が聞こえた気がするが、待ちに待った覚醒に免じて、今回だけは、許してやろう」
と、センは、寛大さを見せつけてから、
両手にオーラを集中させていく。
「練れる! 練れるぞ! はははははは、見ろ。これまでのオーラがゴミのようだ! そうだ! センエースは滅びぬ! 何度でも蘇るさぁ!!」
「気持ちはわかるけど、ちょっと、全能感を抑えようか。見苦しい。できるなら、実るほどにこうべを垂れてくれ」
「言葉を慎みたまえ。君は神王の前にいるのだ!」
「言われんでも知っとる。お前こそが神の王であり、命の王。全ての頂点。全次元・全生命体の代表。そんなもんは、言われるまでもなくわかっとるから、どうか、その肩書きに相応しい品格を見せてくれ、頼むから」
「君の正論には心底うんざりさせられる。天才さんの悪い癖だ。跪け、命乞いをしろ。三分間待ってやる」




