28話 反抗期の社会人。
5年連続毎日2話投稿前夜祭記念、
コミカライズ版センエース、
「まんが王国」「コミックシーモア」「eBook japan」で配信されている記念、
1日10話投稿!
本日の1話目!
28話 反抗期の社会人。
「やれやれ。まさか、その程度のヌルい挑発で俺が怒るとでも? 青いな。合計で10兆年以上もの時間を生きてきた『このセンエースさん』に、そんな、安い挑発が届くわけがなかろうもん」
「さすがっすね、10兆童貞さん」
「おもて出て、かかってこぉおおおおい!!」
と、綺麗にフリオチを決めたところで、
ハスターが、
「……センエース、契約の時間だ」
と、前置きもなく、そう言った。
ハスターは、たんたんと、
「どうやら、タイムリープは問題なく成功したようだな。今回は何回目だ?」
そんな彼の発言に対し、
センは、先ほどまでのヨグとのじゃれあいが嘘かのように、
タメ息交じりで経験値振りをしながら、
ハスターの方を見ることも無く、
「全部あわせたら6000億回目だ」
「……ろく? 6000……億?」
「もういい、もういい。リアクションしなくていい。お前が、俺のループ回数に驚くシーンはもう飽きた」
「本当に……6000億回も……」
「だから、もういいって、マジで。はいはい、やったやった。すごいだろ。すごいね。はい。この話、終わり。俺、今、仕事してるから、だまってて」
「……」
ハスターのパートを雑に終わらせるセン。
さすがに、10兆年も同じことをやっていると、うんざりする模様。
と、そこで、
『間違いなく世界で一番の天才』が、ひょっこりと顔を出して、
「タイムリープ、どうやった? うまいこと、いけた? いい感じに殺された?」
と、声をかけてきたので、
「しんどいから、話しかけるな。もうちょっとしたら、記憶を回収できるから、それで確認しろ」
サラっと、それだけいって、
センは、経験値振りを続行する。
まるで、反抗期の社会人のよう。
ちなみに、現状の精神状態は、
かなり、特殊な状態にある。
まず、ヨグに対しては、『強いシンパシー』を感じている。
ずっと、同じ風景を見続けて、同じ地獄を経験している、という強い実感。
『記憶の継続』という要素は、やはり大きい。
――別に、田中やハスターに、『同じ目にあってもらいたい』とは思っていない。
『俺だけじゃなく、お前らも苦しめ』みたいなことは流石に考えていない。
『こんなに苦しいのは自分だけでいい』とは思っている。
しかし、それと同時に、
『お前らは楽でいいな、くそったれ』と思ってしまう部分があるのも事実。
センエースは聖人ではない。
むしろ、人間失格という糞スペシャルを持った性悪クソ野郎である。
ゆえに、クソな感情を抱いてしまうのも当然の話。
センエースは、田中に対して思う。
『記憶がリセットされるの、鬼ズルくね? それ、全然、苦しくねぇじゃん。実質、20年頑張るだけじゃん。ヌルいわぁ。そんな程度の重荷しか背負っていない分際で、この俺様に、ため口きいてほしくないわぁ。きらいだわぁ。なんか、顔見るだけで殺したくなるわぁ』
あまりにもみっともない感情である――ということは重々承知しているのだが、
しかし、そういうクソな考え方に染まってしまうほど、
心が蝕まれているのも事実。




