表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1121/1228

24話 獄中の進化。


 24話 獄中の進化。


「本来のラスボスプロジェクトに戻すか? いや、でも、半端な個体を適当に創造しても、センエースの相手は務まらない。『積み重ねた器』を使わなければ意味がないし、根性ランクSSクラスはそう簡単に創れない。『今の蝉原を器にしたセンエースのコピー体』を創るか? いやぁ、それは流石に、『センエースコピーの劣化版』にしかならない気がするなぁ。不純物が混じって濁るだけ。綺麗なダイアモンドに不格好な傷をつけるようなものだろう」


「殺して お願い」


「やかましい。黙ってろ、ポンコツ」


 雑にそう言って、すがってくる蝉原を蹴り飛ばす。

 飛ばされた蝉原は、ずさぁと倒れ込み、そのままピクリとも動かなくなる。

 もちろん、死んではいない。

 ただ、動く気力がないだけ。


 その様を見たソルは、

 心底からガッカリといった具合のタメ息をついて、


「たかが300億年ぽっちで、ここまで終わってしまうとは 貴様なら自力でも250万年耐えられると予想したが、それは誤りだった。貴様の、そのクソしょうもない器では、良くて2~3万年限度だろう。全く……はぁ……」

 

 深いタメ息が止まらない。


「蝉原ごときに期待した私がバカだった」


 そう呟くと、

 ソルは、蝉原の首を掴んで、


「ハッタリと威勢だけの、どヘタレ糞ヤンキーが。貴様には、ほとほと、呆れ果てた」


 そう吐き捨ててから、

 自身の口を、5倍ぐらいの大きさに膨らませて、

 そのでかい口で、蝉原の頭に、ガブっとくらいついた。


 グシャリと頭を砕き、そのままバキバキと咀嚼。


 あらかた細かく砕いたところでごっくん。

 

 ――こうして、蝉原の物語は正式に終わりを迎えましたとさ。

 めでたし、めでたし。






 ★







「――極蟲ごくちゅう神化――」


 蝉原を飲み込んだ直後のことだった。

 蝉原を自分の『中』で処理しようとした時のこと。

 ソルは、確かに蝉原の声を聞いた。

 と、同時、


「ぐぶっっ!!」


 激しく吐血するソル。

 すぐに気づく。

 自分の『中心』に、害虫がかじりついた。


「あいつ 折れたんじゃ――ブフゥっ!!」


 ソルの腹の中で、豪快に暴れている蝉原。

 噴水のように血をはくソル。


 ソルは、自分の口の中に腕を突っ込んで、


「うぐぐっ、うげへっ!!」


 豪快に嘔吐。

 大量の血と一緒に、

 蝉原を吐き出した。


 外に飛び出した蝉原は、

 その右手に、黒い塊を握りしめていて、


「お前のコア、みぃつけたぁ」


 ソルのコアよりもはるかに真っ黒な笑みで、ニタァァと笑う。


「ど、どういうことだ? 貴様は折れていたはずだ。完全に。な、なぜ、抵抗できる? それに、固有神化もできなかったはず――」


「固有神化なら、155億年ぐらい前の段階で使えるようになっていたさ」


「っ」


「試しに隠してみたら、お前、全然気づかないから、『あ、これ使えるな』と思って、密かに爪を研いだ。お前に一撃かませるチャンスがくるまで、じっと耐えた」


 くくくと、性根の腐った笑みを浮かべて、


「俺の勝ちだ、ソル。テメェの全部をくらい尽くす」


 そう言ってから、蝉原は、自分の口の中に、ソルのコアを押し込んだ。


 ごくんと飲み込むと、

 全身がグワっと熱くなる。


「ぐっ、はは、はははははぁっ! でかいなぁ! これはいい! 300億年積んだ俺が、破壊衝動ソルを手に入れたら、これはもう無敵だろ! はははははぁっ!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ