13話 ちょっと赤いだけのスライムの分際で、よくメタ◯キング面ができたな。
13話 ちょっと赤いだけのスライムの分際で、よくメタ◯キング面ができたな。
「結局、ついには、『できん』って、明言までしちまいやがった。しょっぱすぎるだろ、お前。俺なら、『悪を貫く』と決めたら、最後まで折れずにゴミっぷりを世界に魅せつけるぜ。つまるところ、お前には、足りないんだよ、多くが。情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ。そして何よりも――速さが足りない。何か反論はあるか? あるなら、壁にでも言ってろ。俺には言うな。聞く気ゼロだから」
「……」
……痛々しい『数秒の沈黙』を経て、
センが、おもむろに、
「――ところでさ、ヌルさんよぉ。お前がやりたいことって、『シューリたちが背負っている業』をぶっ飛ばすことと、蝉原から弟子連中を取り戻すことだよな?」
「あ、ああ、そうだ!」
『なんだかんだ言って、結局、やってくれるのか』という期待の籠った目でセンを見て、ヌルは、
「俺を経験値にすれば、お前はそれを完璧に果たせる! だから――」
「お前を経験値にするだけじゃ無理だぞ」
「は?」
「は? じゃなくて。もう普通にたりねぇんだわ。ソルからもらった情報が正しいなら、プライマル・ヒロインズの呪いはハンパじゃない。蝉原の方は知らんけど、呪いの方は、今の俺では、とりま、無理で、『真醒の8』にでもならないと対処は無理。で、お前を食っても真醒8にはなれない。お前を食うぐらいじゃ、全然たりねぇ。例えるなら、あれだな 『お前を殺した経験値で、真醒8を目指す』ってのは、『500円を渡されて、車買ってこいって言われた』みたいなもの。遠慮とか配慮とかじゃなく、普通に無理なんだわ。『資本主義社会をナメんなよ』という返事しかできねぇんだわ」
「そ、そんなはずはない。今の俺の経験値は膨大なはず」
「俺にまともな一撃を入れることもできない状態で、よく、そんなこと言えたな。今の俺からすれば、お前なんかスライム同然だぞ。辛い採点だと、ぶちスラ〇ム。だいぶ甘く評価しても、スラ◯ムベスが関の山。ちょっと赤いだけのスライムの分際で、よくメタ◯キング面ができたな。恥を知れ、恥を」
「……」
「俺がその気になれば秒で殺せるザコ。そんなお前の『経験値(価値)』が高いわけねぇだろ。経験値のシステムをナメんな。お前がどんだけショボいゴミか、まだわからないってんなら、とことん教えてやってもいい。が、その行動に何か意味があるか?」
「俺の強さはともかく、数値としては、それなりに――」
そんなヌルの反論を、
センは、かぶせるようにして、ピシャリと、
「俺が、500億ループを、5周ではなく2周でやめていたら、お前を食うことにも多少は価値があったかも知れないが、今の俺がお前を食ったところで、『サウナの後で雀の涙を飲む』みたいなもん。その程度の恩恵しかないのに、恩着せがましく、『全部をくれてやる』とか言われても、こっちとしては、鼻で笑うことしかできない。俺にとって、お前は、空き缶も同然。アルミ缶なら、業者にもっていけば、金にはなるが、稼ぎは微々たるもの。基本的にはゴミ。ゴミをもらって、俺にどうしろと? まさか感謝を求めないよな? どうしてもゴミを捨てたいなら、俺に押し付けるんじゃなく、ちゃんとゴミ箱に――」
「うるせぇ、ウルセェ! 言いすぎだろ、流石に! てか、オリジナル、口悪すぎだろ! どうなってんだ、お前の人間性! お前みたいなののコピーとか、恥ずかしくて誰にも言えないレベルなんだが?!」