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43話 300の人質。


 43話 300の人質。


「私に内蔵されている『B‐クリエイション』は、非常に便利なツールでね。コスモゾーンにアクセスして、いくつかの機密情報を抜き出すことができる。私としては、君に、ぜひ、そのプロフィールを熟読してもらいたいんだ。そのためなら、本物の有益な情報を差し出すこともいとわない」


「その情報が本物であるという証拠もねぇだろ」


「だが、本物だった場合、君は大きなアドバンテージを得る。対価は、君がプロフィールを読み込むことだけ。つまり、リスクは存在しない。証拠がなかったとしても、ここは賭けるべきところだと思うけれど? リスクのない『メリットの可能性』を放棄するのは、『行動と思考を放棄した疑心暗鬼バカ』でしかない、そう思わない?」


「……」


 センは数秒考えてから、


「お前から得た情報が有益だと思わなかったら、その時点で、お前の顔面に閃拳を叩き込むぞ」


「それでいい」


 そこから、センは、プロフォールにじっくりと目を通していく。

 その間、悪夢バグは、センにとって有益な情報を、時間をかけて、じっくりと語っていく。

 もったいぶって、時間をかけて、大事なところを意図的にぼかしながら、

 それでも、センにとって有益になる話を、ゆっくり、ゆっくりと進めていった。


 そんな時間が15分ほど経過したところで、


「だいたいは目を通せたみたいだね」


「……ああ、まあな」


「面白かったかい?」


「いや、別に……一般人のプロフィールを見ても、面白いとはおもわねぇよ。そんな特殊性癖は持ち合わせてねぇ」


「今の君は、世界の広さを知らない。多くの人間が、『今』を『必死に生きている』というナマの現実を知らない。本で得た知識はあっても、それ以上の経験はない」


「……実質的には3年しか生きてねぇのに、そんな大きなことを知っている方がおかしいだろ」


「そのとおりだ。別にせめているわけじゃない。ただの事実を並べている。君は、まだ3歳だから、『命』を知らない……だが、今日、君は、300人の人生を知った。本と同じで、文字を追っただけだが、本と違うことが一つだけある。その資料に書かれている『本物の人生を生きてきた者の魂』が人質になっているという点だ」


「……」


「これから、私と君は殺し合うわけだけれど、その闘いの中で、私は、時々、300人の魂に向けて異次元砲やフルパレードゼタキャノンを放つ予定だ」


「……」


「死なせたくないなら、君が体を張って守るしかない。その隙をつくという形で、私は勝利を収めるつもりだ。ここまでは理解できたかな?」


「まあ、だいたいは。ただなんというか、念入りに作戦を立てたと言う割には地味というかしょっぱいというか、てぬるいというか……一言で言えば『アホの作戦』だなって、そんな感想を抱いたな」


「頭がいいと思えるだけの策なんか、いくらでも思いつくよ。でも、そういうお行儀のいい作戦って、『つきぬけた根性』の前では、結局、無意味だったりするんだよね。とくに、君が相手の場合、『小ギレイなだけの小細工』をいくら弄しても、そのイカれた資質で、たやすく跳ね返してしまうだろう。やるなら、真正面から。できるだけ、シンプルでデカい縛りをつけて――それが、もっとも有用な策だと判断した」


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