8話 存在値1京クラスの実力者が、シュブを盾にして、トウシをCPUにして、1002号の戦闘力も完備。本来ならパーフェクトな存在……なのに……
8話 存在値1京クラスの実力者が、シュブを盾にして、トウシをCPUにして、1002号の戦闘力も完備。本来ならパーフェクトな存在……なのに……
「ヌル……どっかで聞いたことがある気がするけど、あんまり思い出せないってことは、たぶん、ザンクさんとやらと同じで、たいしたやつじゃないってことだろうな」
「なかなか、せめた挑発じゃないか、センエースさんよぉ。この俺をナメてしまうことは世界のデフォルトだとしても、しかし、その代償は重たく払ってもらう。心の底から後悔させてやるぜぇえ!」
と、ヌルは、意気込んで、センエースに突貫をかます。
実際のところ、ヌルは、とんでもなく強い。
そもそもが、存在値1京クラスの実力者。
その上で、シュブを盾にして、トウシをCPUにして、1002号の戦闘力も完備。
さらには、『ソル』を装備として身にまとっているという徹底ぶり。
その最大出力は、余裕で『2京』を超えているというハンパなさ。
戦闘力、存在値、運命力、装備品、すべてがパーフェクトと言ってもいい化け物。
――なのに、
「どべひゃっ!」
サクっと処理されるヌル。
まったく相手になっていなかった。
「ぇ、ちょっ、なに、その強さ……え、ちょっと、待って。俺も、一応、お前の5兆6000億年を見てたけど、お前、そんなに強くなかったよね?」
そう言われたセンは、
「ふむ……」
と、軽い感嘆詞で間を埋めつつ、
自分の体を確かめながら、
「確かに、自分でも驚くべき強さになっている……この感覚……どうやら、これまでに積んできた『地獄』が昇華され、花開いている感じかな……」
『たった一つだけ』でも『バカみたいに苦しい縛り』を、山ほど、自分に乗っけて、その上で、5兆6000億年という、意味がわからない時間を鍛錬に費やしてきた。
――その覚悟は、『閃光のアリア・ギアス』として昇華され、
『膨大なるセンエースの器』となった。
【オーバードライブ・ゼノ・サイコジョーカー】
【イタズラな領域外の牢獄】
【終焉の呪縛】
【ゼットオメガレベル】
【真・第一アルファの循環フルモード】
【メリークルシミマス/田中カスタム】
この尋常ならざる6つの地獄を背負った上で、
大事な家族に殺され続けるという地獄に、
5兆6000億年、耐え続けると誓う。
その代わり、
『大事なものを全部守れる力をよこせ』
……『5兆6000億年分の正当な成長』にプラスして、
『成し遂げたボーナス』が、アリア・ギアスとして加算された。
そのアリア・ギアスの効果は、実際のところ、
『絶死のアリア・ギアス』を超越している。
それも、当然の話。
『死ぬよりも何兆倍も辛い地獄』を乗り越えたのだから。
ゆえに、今のセンエースの強さは、
田中たちが想定していた領域を遥かに超越していた。
『これだけの地獄を積めば、このぐらいは強くなるだろう』と想定していた範囲の『上振れ最大値』を、大幅に……大幅に超えている。
センは、
「俺は……強くなった……これなら、何でもできる……」
自分の両手を見つめながら、
ボソっと、
「今の俺なら、出来ないことはない。なんでも手にはいる。でかい家、いい車、うまい酒、エロい女、俺を崇める大量の奴隷、なんでもかんでもよりどりみどりだ。たまんねぇな、おい。人生バラ色だ」




