4話 茶番はもういいぜ。
4話 茶番はもういいぜ。
反射で、センもダブル神化する。
素の『究極超神化3』をベースにした『真醒・究極超神化7』のダブル。
神化の質だけで言えば、田中の方が遥かに上だった。
存在値の点だけで言えば、田中はセンエースを大幅に超えている。
「素3ベースのダブルごときで、ワシの攻撃に耐えられるとでもぉ?!」
そう叫びながら、田中は、
センとの距離を殺すと同時、
切れ味するどいジャブの連打。
それを、センはスルスルと優雅に回避してから、
軽いカウンターで挨拶を返す。
殺人的な角度の左フック。
田中は、反射的に、シュブ盾で防御。
とてつもない防御力を誇るシュブ盾だが、
センの軽いカウンターを食らっただけで、
バキリッと、豪快に砕け散った。
「げっ」
田中は、慌てて、『装備品を修復する魔法』を使う。
なかなかしっかりと砕けたので、完全修復するまでかなりの時間がかかった。
シュブ盾が回復するまでの間、
田中は時間を稼ごうとしていたが、
センは、その様子を、テキトーに流しながら待っていた。
ある程度、シュブ盾が回復したところで、
センは、田中に、
「ふむ。どうやら、シュブのことは完全に支配下に置いているっぽいな。……つまり、これは、あれか。シュブは『俺を鍛えるためのエサ』にすぎず、俺は、お前の手のひらの上で、間抜けにパラパラを踊っていただけにすぎない、と」
冷めた口調でそう言ってから、
「はぁ」
と、まあまあ深めのタメ息をついて、
「まあいいや。強くはなれたし。今回、俺が鍛え上げた力は、今後、ヤベェ敵が出てきた時にふるうことにする」
そう呟いて、戦いを終わらせようとするセン。
センエースの視点では、田中は敵になりえない。
不愉快な相手であることは確実なのだが、
しかし、『一番頼りにしている相手』であることも確実。
それは、『子供にとっての、父や兄ぐらい』と例えても過言ではないほどの強い信頼感。
だから、センは、『シュブ騒動』を『たんなる茶番』だと捉えた。
『シュブをメインにすえた絶望』は『センエースを鍛えるためのお芝居にすぎない』と考えたのだ。
そんな甘ったれたセンエースに、
田中は、
「勝手に茶番やと思い込むんは自由やけど、ワシは今から、本気でおどれを殺しに行くから、早めに本腰入れてエンジンかけた方がええで」
そう言いながら、
田中は、センの視覚に潜り込む。
『しっかりと殺意のこもった田中の一手』を回避したセンは、
「もういいって 馬鹿馬鹿しい。お前が俺を殺すことなんて、結局のところは、できるわけがねぇんだから。なんせ、お前はこの世でもっとも高潔な男なんだから。『悪いことをしているわけじゃない俺』を殺すことはできない。そうだろ? この上なく尊い、病的に高潔な、正統なる銀河の支配者様よぉ」
と、嫌味マシマシではあるものの、
実は、まあまあガチンコに『強めの信頼感』を見せていくセンに、
田中は、
「ウルティマ・オートマタ」
と、『自動で相手を全力で殺しにいくスキル』を使用した。
直後、田中のスピードとパワーが跳ね上がる。




