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42話 死の交渉。


 42話 死の交渉。


「大半は子供だ。赤子も結構な割合で混じっている。生まれたばかりの赤子、将来を夢見ている無垢な子供、善良でまじめで勤勉な一般人。――しっかりと厳選したから、なかなかいい感じのラインナップになった」


「……」


「口で語るのも時間がかかる。一応、プロフィールを、ここにまとめてあるから、軽く目を通してくれ」


 そう言って履歴書の束のようなものを顕現させて、センの元に投げ渡す。


「……」


 センは、軽く、パラパラと、プロフィールに目を通した。

 敵の前で、書類をじっくりと読み込むほどイカれてはいないので、サっと、名前と顔写真に目を通しただけ。


 本当に、顔を見たことすらない300人だった。

 アダムやシューリ、あるいは、部下や親戚の名前でも載っているかと思ったが、見事に、知らんやつ300人だった。


「……マジで、誰も知らんな……で、これ、なんだ? なんの意味がある? 言っておくが、知らん人間なんか人質にならないぞ」


「君を倒すために、私はたくさん考えた。で、最初は、『この300人の命が惜しかったら抵抗せずに死ね』と命令しようかと考えたんだけれど――」


「知らんヤツの命は、俺的に一ミリも惜しくねぇ。仮に、惜しんでいたとしても、俺が死んだら、そいつらも死ぬ。お前の命令に従うことに意味はねぇ」


「そう。だから、次に『君以外のすべての魂を救済すると約束するから、抵抗せずに死ね』と命令しようと考えた」


「その約束が守られる保証がなさすぎるから、契約が成立することは絶対にありえねぇ。お前を殺す方が、はるかに確実」


「まさに、そのとおり。だから、そういう、『直接的に、死を認めさせる交渉』というのは、なかなか難しい。アダムやシューリを使って、何かしようかとも考えたんだけれど、事前工作で潜入させられるのは存在値200の小さな虫が精々だから、どちらにも干渉は出来ない」


「……」


「で、なんだかんだ、色々と考えた結果、この300の魂は、君の足枷になってもらおうと考えた。直接的な死因ではなく、足枷程度におさめることで、この魂たちは真の価値を発揮する。システムをバグらせる時と同じだね。無茶を通そうとすると無駄骨に終わる可能性がある。なんだって、バランスが大事なんだ。それを無視しても、大きな成果は得られない。いそがば回れって感じかな」


「……」


「いきなり殺し合いをはじめても、300の魂が、有益な人質として機能しないから、君には、ぜひ、時間をかけて、そのプロフィールを読み込んでもらいたい。その条件をのんでくれるのであれば、私が知っている情報をいくつか話そう。興味深い内容が目白押しだよ。例えば、次に襲来する敵の弱点情報とか、ナイトメアソウルゲートに隠されている秘密施設の解放条件とか」


「なんで、お前はそんなことを知っている?」


「私に内蔵されている『B‐クリエイション』は、非常に便利なツールでね。コスモゾーンにアクセスして、いくつかの機密情報を抜き出すことができる。私としては、君に、ぜひ、そのプロフィールを熟読してもらいたいんだ。そのためなら、本物の有益な情報を差し出すこともいとわない」


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