93話 時間が足りない。
93話 時間が足りない。
(……魂魄全部を消費してしまったのなら、異次元同一体の魂魄も全部消費すればいいじゃない)
(革命まったなしの圧政やな。もう搾取とかいうレベルやない。強奪という言葉すら可愛く思える諸行。ちなみに言うとくと、異次元同一体の魂魄も全部使った上で、追加の5周、合計6周をお前にくれてやったんや。だから、もう無理)
(……マジで、プラス10周無理? じゃあ3周でもいいよ)
(だから、もう無理やと言うとる。耳、死んどんのか?)
(……じゃあ、2周)
(交渉しとんのとちゃう。無理なんや、セン。マジで)
(まだだよ、田中……まだ終っていない……まだまだ終わらせない。地獄の淵が見えるまで……限度いっぱいまでいく。どちらかが完全に倒れるまで……ループの後は骨も残さない)
(しつこぉい!)
(わかった、じゃあ、あと一周でいいよ。そのかわり、1ループにかける時間を20年じゃなく、100年にしてくれ)
(……)
(わかった、わかった。よくばりすぎたな。じゃあ、1ループ50年でいいよ)
(……)
(え、マジで無理? あと3000億年ぽっちじゃ、真醒・究極超神化7を完成させることが出来ないんだが?)
(3000億年に、『ぽっち』をつけれるんは、世界広しと言えども、お前だけやろうなぁ)
★
『マジで、あと3000億年しか使えない』と理解したセンは、
(やべぇなぁ。時間が足りねぇよ。……俺の中には、まだまだ可能性の芽がある……全部を開花させようと思えば、この程度じゃ、話にならん……けど、田中の話によると、もう、マジで、リソースがない模様。……どうにかして、確保しないといけない……とりま、シュブとカミノを完全回収して、一時的なリソースを補填するか……他にも、大きなエネルギーを持つ連中全部を確保して、数兆年単位の時間を稼ぐ……)
『永き』を積んだことで、センは、
自分が、まだ、スタート地点にすら立っていない、
ということに気づいた。
5兆年かけてようやく届いた『真醒・究極超神化7』も、
しょせんは『真醒・究極超神化8』の足掛かりにすぎない。
仮に『真醒・究極超神化8』に届いても、そこから熟練度上げに時間がかかる。
なんだったら、『9』や『10』も自分の中に眠る可能性として見えている。
ダブル用の『究極超神化3』の熟練度も、まだまだカンストには届いていない。
そして、単純に、『ダブルでの運用の練習』も足りていない。
いまだ、トリプルの練習がまったく出来ていないというのも大問題。
――やるべきことは死ぬほどある。
けど、時間がまったく足りていない。
(……もっと、もっと、時間がいる……俺は、もっと、もっと大きくなれる)
ちなみに、今は、極端なほどハイになっているから、このような未来志向の心境になっているが、気分の浮き沈みの『沈み』の方のターンに入ると、死んだような顔で、『まだ3000億年もあるのか……しんどい……つらい……』と、涙を流しながら頭を抱えたりもする。
究極に極端な躁鬱の乱高下を繰り返して、
センは、一歩ずつ、前に進んでいく。




