92話 真醒・究極超神化7。
92話 真醒・究極超神化7。
背負いまくった地獄に加え、伸び悩みという重たいしんどさまで抱え、もう、本当に、『いっそ死ねたらどんなに楽だろう』と、そんなことばかりを考えながらも、しかし、最後の最後では、どうしても踏ん張って耐えてしまう、そんな自分の厄介すぎる根性に辟易しつつも、必死に、『それでも』と叫び続け、折れずに戦い続けていたある日、
――センは、
「……ん ああ、そうか」
何かに気づいた。
その『気づき』を言語化するのは恐ろしく難しい。
セン自身も、自分が何に気づいたのか正確には理解していない。
ただ、
「――真醒・究極超神化7――」
2周目の段階で、センは、真醒・究極超神化の6までマスターできていた。
だが、7になるのが、とにかく難しかった。
いくら頑張っても、なかなか届かなかった。
ここまでの数兆年の中で、何度も諦めた。
自分では無理なのかもしれない、と、頭を抱えていた。
とっかかりも、ヒントも、糸口も、尻尾も、何も見えていないまま、センは、闇の中で、必死に、手探りで、答えを求め続けた。
その結論が、今。
センエースは届いた。
「は、はは……」
つい笑みが溢れた。
センは、自分の手が届いた、新しい世界を、ぎゅっと握りしめて、感触を確かめる。
「ちっちぇなぁ」
テンプレだったが、ただのテンプレではない。
ちゃんと本音でそう思ったから口にした。
その感想の対象は、数秒前の自分。
6に溺れていた当時の自分。
センは、にぃと笑い、
「でも、自由だった。今の俺は、あまりにも不自由。贅肉だらけで、草も生えない」
静かな声音で、自己を分析する。
『真醒・究極超神化7』の奔流に、センはついていけていない。
覚醒したばかりなので、それも当然の話。
(……ループのリミットまで、あと3000億年くらい、か。……短いな。正直、全然たりない。そんな短い時間じゃ、下地しか作れねぇ。それじゃ話にならない。……あと『5周』ほど追加して、完璧に仕上げよう。うん、そうしよう)
などと、心の中で、だいぶトチ狂ったことをほざいているセンに、
田中が、テレパシーで、
(何いうてんねん。アホか)
(どうした、正統なる銀河の支配者よ。神の王たる私に何か申し入れたいことがあるのか。よかろう。話すが良い。聞いてしんぜよう)
(合計6周、全部で5兆6000億年分のエネルギーを確保するために、こっちがどんだけ苦労したと思ってんねん。なんでもかんでもタダちゃうねんぞ。だいぶ無茶して、コスモゾーンに借金とかもしてんねん。これ以上は無理やからな)
(安心しろ、正統なる銀河の支配者よ)
センは、ニッと、柔らかに、初夏の太陽のように微笑んで、
(無理を通せば、道理は引っ込むもの。『もう無理だ』と思ってからがトレーニングのはじまり。というわけで、田中。あと10周、追加だ。よきにはからえ)
(無理やと言うとる。もうリソースが完全に尽きて、ワシの魂魄を全部使うぐらいの、やばい無茶をしとんねん。これ以上の追加は出来ん)
(……魂魄全部を消費してしまったのなら、異次元同一体の魂魄も全部消費すればいいじゃない)
(革命まったなしの圧政やな。もう搾取とかいうレベルやない。強奪という言葉すら可愛く思える諸行。ちなみに言うとくと、異次元同一体の魂魄も全部使った上で、追加の5周、合計6周をお前にくれてやったんや。だから、もう無理)




