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40話 はるかなる高み。


 40話 はるかなる高み。


 『神闘の型』という、合理的なパッケージで自分の戦闘思考を満たしたことで、

 もはや、戦闘中、無駄に考えることがなくなった。

 たいていの問題は、公式にあてはめることで処理できる。


 大学入試の数学みたいなもので、

 どれだけ難易度の高い問題でも、

 それまでに理解してきた公式を応用することで処理することが可能。


 あとは、補助線が見えるかどうか。

 有力情報にイチ早くたどり着けるか否か。


「虚と実が交錯する……『りゅう』が溶けていく……『しき』が鮮やかになる……量子と素粒子が絡み合って、『くう』の欣幸きんこうに到る……俺は、まだ不自由なまま……けれど……ここに来る前よりは、少しだけ……自由になれた気がする……」


 途方もない研鑽の果てに、

 センの意識は遥かなる高みに到達した。


 超越した琥珀こはく色が、優雅なだいだい色へと弾けて混ざる。


 脳の中が、純度の高い分泌液で満たされる。

 優越感を超越した、真なる幸福の中に沈む。


 自分自身に没頭し続けた結果、

 センは、望んでいた世界の一端にたどりつく。


 ここはまだ、道の途中。



「……ん?」



 高次理解に辿り着いた直後のことだった。

 センは、『おぞましい気配』を感じた。

 と、同時、


 ガラガラ、ドガァアアアアアンッ!!


 と、落雷のような爆音と振動がセンの五感を刺激した。


「……あん?」


 いぶかしげな顔で、センは、音の出所に向かう。

 すると、そこには、


「……あれは……扉……」


 ヤオヨロズの迷宮の最奥に設置されている扉が、

 なぜか、ナイトメアソウルゲート内に浸食してきていた。


 そして、その扉から、


「……っ」


 『顔だけ虫でスーツ姿の男』が現れた。

 その虫男は、周囲をサっと確認してから、

 センをロックオンして、


「はじめまして、センエース。私は、究極完全体グレートバグ・ナイトメア。君を殺す者だ」


「……いろいろと言いたいことはあるが……とりあえず、どうやって、ここに入ってきた? ていうか、それは、アリなのか? ここって、俺だけの領域だろ?」


「ナシだと思う。けど、そんなルールに従っていたら、順当に負けてしまう。私は、本気で、君に勝ちたいと思った。だから、無茶をさせてもらった。これはゲームじゃないんでね。なんでもかんでも、そっちの都合がいいように進んだりはしない」


 究極完全体グレートバグ・ナイトメアは、ゲームキャラではないから、主人公が成長するのを、黙って待ったりはしない。

 これは、それだけの話。


「本気で君に勝とうと思うと、ナイトメアソウルゲートに干渉する必要があった。ここを制圧しない限り、君は無敵みたいなものだからね。たとえ、追い詰めたとしても、ここに逃げ込まれたら、最初からやり直しだ。体力も魔力もオーラも全回復というのは、さすがにチートが過ぎる。本来のソウルゲートだと、そんなことはできないのだけれど、ここは特別だから、そのふざけたチートが出来てしまう……ただ、だからこその穴というのもある。なんでもかんでも完璧なチートなんて存在しない。チーターは、さらなるチーターに駆逐される。それが世のことわり


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