74話 いつだって人間じゃない変態、それがセンエース。
74話 いつだって人間じゃない変態、それがセンエース。
田中はセンエースを疑わない。
センエースの異常さ、高潔さ、人外度、気狂いレベルを、
――田中は、この世の誰よりも信頼している。
(指輪を外すかどうかの次に心配すべきことは、普通に残機3000を切るかどうか。せやけど、ここに関しても、センエースが対象の場合に限り、心配は無用。あいつが真に追い込まれた時に、突如として唸りをあげる世界一のチート『センエースエンジン』……アレのスペックは、この数千億年の間、どんどん磨かれて、元々最強格やのに、もはや、他のどのチートであろうと歯が立たん、究極無敵の改造コードに進化した。センエースなら、今回ぐらいの試練は余裕で超えてくる)
過大評価がすぎる。
田中の推測を『フラットな目』で『客観的に評価』した場合、間違いなく過剰すぎる評価である。
が、しかし、実際のセンエースは、
そういう過大評価を置き去りにする男。
センエースの異常性には、いつだって、世界が瞠目し二度見する。
★
――センが3000の残機を失った時、田中の予想通り、センエースエンジンが、けたたましく唸りを上げた。
『死んだら配下の誰かが死ぬ』と言う、センエース的に、『絶対あり得ない状況』に追い込まれたことで、いつも通り、『狂った煌めき』を炸裂させて、『今』というピンチを惨殺する。
「ふしゅー、ふしゅー」
人間の目じゃなかった。
飢えた獣がドン引きするほどの、常軌を逸した血走り方。
ここまで、センは、どうにか、
『マキシマイズ・ドリームオーラ・グロリアス』や、
『マキシマイズ・ドリームオーラ・ファンタジア』などの、
ギリギリ常識の範囲内にある魔法を、
合体した配下たちの人数分展開させるという、
確実に頭おかしいが、『死ぬほど頑張れば出来なくはない』という、
ギリギリ、『人間の範疇に収まる神業』で、
なんとか、かんとか、時間を稼いできた。
あり得ないほどの集中力で、バリア魔法を乱舞させ、
どうにか『3年』ほど、なんとか耐えみせた。
これは偉業。
この時点で、すでに、他の誰にも真似できない、究極の偉業である。
――だが、センは『その先』に行く。
どんな時でも常軌を逸していく。
『ありえない』という概念全体に中指を立てていくストロングスタイル。
……今から、センは、途方もない修羅となる。
「ぎしゅー、ぎしゅー」
もはや、どこから出ている音かすら分からない。
完全に壊れているようにしか見えないが、脳の方は、これまでにないほど、熱く冷たくギンギンになっている。
以前のセンは、己の限界を、確信していた。
ドリームオーラ・オメガバスティオンの複数展開は不可能である、と認識していた。
ドリームオーラ・オメガバスティオンの乱舞など、そんなものは、絶対に、できるわけがないこと。
そう思っていた時期がセンにもありました。
「うぎぎぎぎぎっ、ぎぎぎっ、ぎぎぎっ」
いま、センは、
『50を超える数のドリームオーラ・オメガバスティオン』を同時展開し、配下たちを全力で守っている。
鼻から鼻血が、蛇口でもひねったみたいに溢れ出て、脳が毎秒爆発しそう。
『もう無理』という『極限の限界』と、
毎秒、『朝まで生討論』しながら、
「あびゃびゃびゃにゃびゃにゃにゃーっ!!」
1秒、1秒を噛み締めながら、
必死に、配下たちを守っている。
 




