73話 一石で八鳥ぐらいはマスト。
73話 一石で八鳥ぐらいはマスト。
(……夢物語を棄てて、現実と直視するなら……『マキシマイズ・ドリームオーラ・グロリアス』か『マキシマイズ・ドリームオーラ・ファンタジア』を全員分展開ってのが、ギリか……それだって、出来る気がしねぇ無茶なんだが……)
ドリームオーラ・オメガバスティオンの複数同時展開と比べれば、まだマシだが、あくまでも、『まだマシ』というレベルでしかない。
普通の思考なら『絶対に無理』と泣きながら泡吹いて裸足で逃げ出すレベルの超絶技巧。
(ぶっちゃけ、出来る気が微塵もしねぇが……やるしかねぇか……)
奥歯をかみしめて、
すでに朦朧としている頭をたたき起こし、
センエースは、配下を守るために、
必死になって、自分の命を沸騰させる。
★
合体で稼いだ時間をフルに活用して、
無数の策を惜しまず投入し、
センエースは、大量のカスタムドリームオーラを展開させる。
その様子を尻目に、
田中は、センにテレパシーをつなげず、
自身の心の中だけでボソっと、
(高次ドリームオーラの複数展開は、オーラドール・アバターラを使用する際の継戦能力向上に繋がるし、自身に重ねがけする際の性能も向上するし、単純に、その場にいる誰かを守らなあかん時の戦闘スキルがアップする。また、ダメージ反射系や威嚇系やミラージュ系を併用することで、牽制やフェイントの訓練にもなる。センエースの戦闘力を多角的に底上げすると同時に、天下にも経験値を回すことで、センエースの数値を底上げする。天下の中にも、上位の神に成れる資質をもった天才は何人かまぎれとる。そいつらをまとめて上位神化させて、足枷ではなく『ガチのオプション』にまで昇華できれば、『ゼノリカ』としての戦力が爆上がりする。ゼノリカが爆上がりするってことは、センエースが爆上がりするってこと。センエースが有する『この上なく尊き魂の系譜』は、最高格のスペシャル。せっかく、これだけ質の高いスペシャルを持っとんやから、徹底的に有効活用せん手はない)
田中は、作戦を立てる時、『一石で何鳥イケるか』をベースでモノを考える。
とにかく効率よく、とにかく多くの利益を得るために計画を練り上げ、それを完璧に実行へと移す。
(この計画を、仮に、一般人で実行しようと思ったら、一番危惧すべき点は、指輪を外すタイミングになる。どの地点で心が折れるかを計算した上でプランを建てんといかんのやけど、センエースの場合に限り、それを考慮する必要は完全にゼロ。センエースが、指輪を外すことはあり得ん。どんな理由があろうと、あいつは絶対に指輪を外さん。『クズ以外の命』がかかった時のあいつは、えげつないほど力強く輝く)
絶対の確信。
田中が、ここまでの『信頼』を向けることは、他の人間では絶対にあり得ない。
――田中には愛する女性がいる。
『そいつを守るためなら死ねる』と言うレベルで愛しているパートナー。
田中は彼女を信用している。
その信用度は普通にカンストしているレベル。
だが、『センエースに対する信頼』は、彼女への信用を超えている。
カンストを超越した異次元の領域。




