39話 神闘裂空ルーム。
39話 神闘裂空ルーム。
『ナイトメアソウルゲートで累計100億年を過ごす――条件達成。【神闘裂空ルーム】が解放された』
新たな施設が解放された。
新施設解放の知らせを受けて、
センは、さっそく、その施設のもとをおとずれる。
説明書をサっと読んで、
「……なるほど。ようは『神闘の型を学べる施設』ってことか……現段階だと、ちょっとよく分からんけど……100億年のボーナスなんだか、ゴミ施設ってことはねぇだろ」
ぶつぶつと、独り言をつぶやきつつ、
センは、その施設の中へと入っていく。
★
結論を言うと、『神闘裂空ルームで得られたもの』は大きかった。
自力ではどうしてもたどり着けなかった武の真髄、その最果て。
ありとあらゆる状況下における最善のパッケージ、
――それこそが、『神闘の型』だった。
「無限の可能性への対応策を集約して定石化させる――自力でやろうとすると、数千億年をかけても届かない叡智。それが、無数に用意されている……」
いわば、この『神闘裂空ルーム』は、誰かが積み重ねてきた『数千億年分の努力』を享受できる施設。
「……一つの型を理解するだけでも、最低1億年は必要だな……」
センは、没頭する。
神闘の本質と向き合い続ける。
「いままで、どうしても理解できなかった真髄が……ここには、全部、そろっている……今までの努力はなんだったんだ……バカみたいだ」
と、自分の努力を嘲笑するセン。
しかし、本当は分かっている。
『がむしゃらに積み重ねて続けてきた愚かしい時間』があったから、
今、センは、ここでの『教え』を理解できている。
『バカみたに積み重ねてきた無駄な努力』という『強固な下地』があって初めて届く世界がある。
「悟った気になるヒマもないほど……ここは、ありえない量の教えであふれている……」
センエースは没頭する。
『無限の教え』に溺れる。
理解と実践を超高次元で繰り返す。
★
――80億年が経過した。
累計で言えば120億年。
とんでもなく長い時間の旅を経て、
センは、一つの道を見た。
武の答え――そのカケラに届いた。
「……ノーダメで勝ててしまった……笑えるな……」
センは、CPUルームで、『最大級に強化された究極完全体アダムのCPU』と戦っていた。
改造スロットによる最大限の強化効果も乗せた、現段階での完全なる『最高位のCPU』と戦っておきながら、センは、ノーダメの完勝を果たしてみせた。
「アダムの動きが止まって見えた……」
人の脳は、『目がとらえた光』の『全て』を処理しているわけではない。
『不必要な情報』のすべてを容赦なく削除して、『徹底的に省略』された『部分的な情報』だけに処理能力を使っている。
その精度を高めることができれば、未来を予測することは可能。
未来視ではなく予測。
無限の可能性を取捨選択する精度。
今のセンは、『その部分の精密さ』が爆上がりしている。
『神闘の型』という、合理的なパッケージで自分の戦闘思考を満たしたことで、
もはや、戦闘中、無駄に考えることがなくなった。
たいていの問題は、公式にあてはめることで処理できる。