65話 助けるんだよ、お前は、この俺を!
コミカライズ版センエース、
12話配信記念!!
1日10話投稿!
二日目!
本日の7話目!
65話 助けるんだよ、お前は、この俺を!
「タナえもぉおおん! もう、君だけが頼りだ! 助けて! 僕を救って! 最悪、君に忠誠を誓ってもいいから、だから、とにかく全力で助けて! 足でもケツでも、なんでも舐めるからぁ! だから、お願いだから、『俺に対する勘違い狂信』という名のジャイアンに、ビシっとジャーマンを決め込んで!」
「なに言うてるか、一ミリもわからへん。なんで、ワシのこと嫌いで嫌いでしゃーないはずのお前が、ワシにすがっとんの?」
「あのね、タナえもん! 『狂信』ったら、ひどいんだよ。俺のことを父だとか言ってバカにするんだ! あれは、絶対に、『クソ童貞野郎』の俺をからかっているんだよ! ひどすぎるよ! あんまりだ! もう許さない! タナえもん、俺を少しでも哀れに思うなら、なにか、現状を打破できる画期的な『地球破壊爆弾』を出してよ!」
「……あ、だんだん、記憶も回収できてきた。えっと……ああ、なるほど……配下連中が、『轟烈閃化』の覚醒に成功して、お前に対する愛情度がさらにバグったと……ふむ。大変やな。おつかれ」
「おつかれですまそうとするな! 助けるんだよ、お前は、この俺を! これまでずっと、そうだったように、俺のピンチを颯爽と殺せ! その役割がなくなったら、お前に何が残る?! なんっにも、残らない! なんにも! 世界一の天才で超美少女の彼女持ちの人生完全勝ち組ってことしか残らない! めちゃくちゃ残るな、くそがぁああ!」
「情緒、どうしたん」
そこで、センは、何度か深呼吸をして、落ち着いてから、
「とにかく、記憶だ。コスモゾーンにハックするなり、なんなりして、とにもかくにも、あいつらの俺に対する記憶を完全に消してくれ。このループ中だけじゃなく、今後も、ずっと、あいつらが俺に対して、過剰な勘違いをしないように、徹底的に『田中先生お得意のパーフェクツ・ウルテク』を決め込んでくれ。難しいことを要求する気はない。『ループ中のあいつら』が俺に見せる『殺意と嫌悪感的なアレ』を、ループ後も継続してくれれば、それで、オールオッケー。わかったな。あとは任せた。よきにはからえ」
「――『お父さん大好き』って言いながら笑顔で寄ってくる子供に『蹴りを入れる』みたいなマネ、せんほうがええと思うけど」
「なんでそんな最悪の表現ができる? お前、おかしいよ。やばいよ。終わってるよ」
「無駄にゴネんと、あいつらからの愛情を、普通に受け入れたったらええやないかな。愛され過ぎるってのは、確かに、息苦しいか知らんけど、その程度の息苦しさなんか、サイコジョーカーの1億分の1以下の重荷でしかないやろ」
「俺は自由でありたい。それに、あいつらにも自由であってほしい。俺との関係に縛られて、思想の幅を狭めるようなことはしないでほしい。『子の可能性を閉じたくない』って気持ちは、そんなに、どうしても分からないものか? なぁ? 正統なる銀河の支配者、田中・イス・東志よ」
「……」
「頼む。この通りだ」
そう言いながら、センは、ピシッとした、完璧な土下座をしてみせた。
冗談の要素がない土下座。
ランクとしては『土下寝』の方が上と言われているが、あっちは、どうしても『シャレ感』が強くなる。
『ガチンコ』を演出するなら、綺麗な正土下座こそが、やはり最強。
プライドを全て捨て去って、
本気の懇願をするセン。




