59話 もう……ほんと……きらい……こいつら。本当に、一回も、命令を聞かない……一回も……ただの一回も……。
コミカライズ版センエース、
12話配信記念!!
1日10話投稿!
二日目!
本日の1話目!
59話 もう……ほんと……きらい……こいつら。本当に、一回も、命令を聞かない……一回も……ただの一回も……。
「お前らが、俺に王になれっつったんだから、ちゃんと、王様の命令を聞こうぜ。なぁ! 王が足をなめろと言ったら黙って即座に実行する。それが、配下の、たった一つの責務だろ。それなのに、お前らは、俺に、足をなめさせてんだよ、ずっと。もう、やなんだよ。お前らの足をなめるの。しんどいんだよ。だるいんだよ。美女の足なら、ギリ許容範囲だが、おっさんの足とか、マジでやなんだよ。だって、俺、男の子だもん!!」
もう、だいぶ、何を言っているのかわからなくなってきている。
が、しかし、センは止まらず、
「命令するのは王の仕事! 命令のベクトルは、俺からお前らへの一方通行のみ! これを、徹底しようぜ! 俺の命令は絶対! お前らは俺に命令できない! これが、王と配下の正しいありかた! もう、これを、ゼノリカの、神法における最重要項目にします! はい、決定! 拍手!」
誰も拍手しない。
誰も、センのいうことを聞いていない。
だが、センは、折れずに、
「というわけで、命令だ。――黙ってろ」
そんなセンの強固な命令に対し、
配下連中は、シューリ以外、全員で、声をそろえて、
「「「「「「「「どうか! 主よ! どうか!」」」」」」」」
と、ガチゴチに『一貫した折れない懇願』をつきつけてくる。
その光景を目の当たりにしたセンは、
ふかい溜息をつき、天を仰いで、
心底しんどそうな、苦虫をかみつぶし散らしたかのような顔で、
「もう……ほんと……きらい……こいつら。本当に、一回も、命令を聞かない……一回も……ただの一回も……」
と、心底からの鬱陶しさを前面に出しながら全力で嘆く。
と、そこで、シューリが、
「セン、ここにいる者たちの覚悟をナメないほうがいい。ここにいる全員、自害する準備はできている」
「……あん?」
「全員が死ねば、あんたが頑張る理由はなくなるでしょう? あんたが苦しむ姿を見るくらいなら、死んだ方がまし。それが、ここにいるものたちの総意」
「……」
そこで、シューリは、一度、目を閉じて、
深呼吸をしてから、
カっと目を開いて、
「オイちゃんたちは本気なんで、テキトーに流そうとしても無駄でちゅよ」
と、ガチンコの『詰め寄りモード』を発揮する。
このモードが発動したら、基本的には終わり。
相手は死ぬ。
ゆえに、センは、
「……」
そこで、あらためて、全員の目を確認した。
どいつも、こいつも、確かに、ちゃんとラリっていた。
薬のやりすぎて死ぬ直前のジャンキーでも、
さすがに、ここまで壊れた目はしていないだろう。
だが、『発狂の度合いで言えば、俺も負けていない』――と、センエースは『謎の対抗心』をごうごうと燃やして、
「……死にたきゃ、勝手に死ねばいい。『命を盾にするテロリズム』程度で、俺が止まるとでも? ナメすぎだろ」
センエースのプライドと負けず嫌いはハンパじゃない。
センは、自身の眼球を、この場にいる誰よりもラリった目にチューンアップして、
「死んだら蘇生させるだけの話。お前らが、どうあがこうが、俺は、必ず、トゥルーエンドにたどり着く。テキトーに俺を安く測って、勝手に終わらせようとするんじゃねぇ」




