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38話 センエースの倫理観。


 38話 センエースの倫理観。


「……『大人』なら、てめぇの身はてめぇで守ればいい。ガキなら、親に守ってもらえ。『親に守ってもらえないガキ』は、諦めて死ぬか、死ぬ気であがいて、その地獄から抜け出すしかない。出来なければ死ぬだけ。それがこの世界の摂理。単純な話だ……とにもかくにも、てめぇの人生なんだから、『てめぇでなんとかしろ』って話。それが出来ないやつを気に掛ける必要はない。『可愛そうだから』って理由一つだけで、なんでもかんでも手を出していたら、こっちがパンクするだけだ」


 センは、『異世界転生はもう飽きた』を通じて、

 自分の中の『人生観』を完成させていた。

 自分が世界に対してどう考えるべきなのか――その基盤が出来上がっていく。


「俺にとって大事なもの……最上位が、シューリとアダム……そのだいぶ下に『秘密結社に在籍しているメンバー』がいるって感じ……それ以外はどうでもいい」


 大事なものは『家族』と『部下』だけ。

 それ以外はどうでもいい。

 そんな視点――『合理化されたイデオロギー』が、強固になっていく。

 空理空論くうりくうろんのしがらみから脱却し、真理上の自由を得る。


「この世界は残酷で、生きるってことは地獄を積み重ねることだ……嫌ならドロップアウトすればいい。抵抗したいなら、好きにすればいい。……ぜんぶ、てめぇで決めることだ……他人の生死に首をつっこむ必要はない。他人の死に責任を負う必要もない。もし、仮に、それが王の仕事だというのであれば、俺は王を名乗ることだけはやめる」


 『俺は神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華』


「……かっこいい名乗りだから、出来れば使っていきたいが……暴君だろうと賢君とだろうと、王の責務に変わりはない……だったら、名乗れねぇ……俺は王にはなれねぇ。俺ごときでは『周囲の人間だけは守れるヒーロー』が関の山だし、それ以外になりたいとも思わねぇ」


 今のセンエースに、王を名乗る覚悟はない。


 そんなセンとは違い、

 『S・A』は、その長い人生の中で、

 数えきれないほど、何度も、何度も、何度も、

 『弱い命』を守るために、王として、命をなげうっていた。


「その行動は、むしろ、世界の歪みを強くする失策だ。『腹が減っているやつ』のために『魚を釣ってやる』か『魚の釣り方を教えてやるか』という問題における『前者』をやっているようなもの。それじゃあ、本質的な問題は何も解決してねぇ。世界が『S・A』に依存して終わりだ。『S・A』がいなくなったら崩壊必至。その『もろい未来』で『倫理的完成を果たした』とは、とうてい言えない」


 自分の中の疑念や嫌悪感を明確な言葉で言語化することにより、

 自分の本音と方向性が、おぼろげではなく、ハッキリと見えてくる。


「俺は、『お前と同じ失敗』はしない。俺は、お前ほど馬鹿じゃないから」


 なんて、そんなことを思っていると、






『ナイトメアソウルゲートで累計100億年を過ごす――条件達成。【神闘裂空ルーム】が解放された』






 新たな施設が解放された。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ニーと弟子はどれくらいの価値観なのか? 部下より上なのか。あとは邪神はどうなった……うん、予想だが、味方になってる説
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