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56話 その、献身って言葉使うの、やめれる?

コミカライズ版センエース、

12話配信記念!!

1日10話投稿!


本日の8話目!


 56話 その、献身って言葉使うの、やめれる?


 ――『260億回目(2600億年)』のループを果たした時、

 センは、『真っ白な空間』で目を覚ました。

 まるで壇上から見る卒業式の風景のように、

 センの目の前には、大量のイスが、無数に、丁寧かつ均等に並んでいる。


「ん? ……どこ……? これは……夢?」


 無数のイスだけが並んでいる、真っ白な、だだっぴろい空間で、

 一人、『たった一つのイス』にすわっているセンエース。

 卒業式でいうところの、『スピーチをする校長先生』のポジショニング。


 『妙な夢か』と疑っていると、そこで、

 トイメンにならぶ無数のイスの一つに、腰かけた状態で、

 田中がヌルリと出現した。


 センが、


「……なに、この状況?」


 そう尋ねると、

 センのトイメンでイスに腰かけている田中は、


「……『今日までにおける、センエースの献身』を『裏でずっと見てきた配下たち』から『どうしても言いたいこと』があるようやから、それを聞いてもらう」


 その言葉の直後、

 大量に並んでいる眼前のイスに、腰を掛けた状態で、

 配下たちが出現した。


 ゼノリカの天上、大集合。


 配下たちは、シューリ以外全員、血の涙を流しながら、

 イスから降りて、片ヒザを地につけると、

 全員で、口をそろえて、

 『もうやめてほしい』と、心底からの願いを告げた。



「……『血涙にまみれた要求』を突きつける前に、『事情』を説明してくれ。わけがわからん」



 そんなセンの言葉に、田中が、


「ループのたびに、身体の記憶はリセットされるけど、『アカシックレコード(コスモゾーンの海馬みたいなもの)』に刻まれた記録が消えることはない。今、この特殊空間におる間だけ、ここにおる全員の『本来の記憶メモリ』と『これまでのお前の記録レコード』をリンクさせた。ループが再開されたら、また、元の状態に戻るけど、今だけは……ここにおる全員、お前の献身を正しく理解しとる」


「その、『献身』って言葉をむやみに使うスタイル、マジでやめようか。すげぇ腹立つから。そもそも、俺は、献身なんて概念に触れたことは一度もない。俺は常に、俺のワガママを――」


「うんうん。はいはい。もちろん、お前がそう思うんなら、そうなんやろう。お前の中ではな」


「……殺すぞ。拷問した上で。マジで。ガチに」


 そんなセンの恫喝を、

 田中は完全にシカトして、


「お前の中限定では、何もかも全部、『お前の思う通り』でええねんけど、しかし、お前がどう思うかなんか、今のこいつらにとっては、知ったこっちゃないコトやねん。というわけで、いったん、黙ってワシらの話を聞こうか」


「……」


「お前が、世界のために、弱い命のために、配下のために、ここまで何をしてきたか……どれだけの痛みを背負い、どれだけの孤独を受け止め、どれだけの高潔さを魅せつけてきたか、その全てを、ここにおる全員、今、この瞬間だけは、正しく理解しとる。その結果、全員の中で、『共通の願い』がうまれた。それが、さっきの要求。……『もうやめてくれ』。それが全員の総意」


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