53話 そして、無様に戦い続ける。
コミカライズ版センエース、
12話配信記念!!
1日10話投稿!
本日の5話目!
53話 そして、無様に戦い続ける。
「……あ、だんだん、記憶も回収できてきた……ああ、なるほど。現状、ワシの方が圧倒的に強くて、それが気に入らん、と」
「安っぽい表現で清書するんじゃねぇ! 俺が小さく見えるだろうがぁあああ!」
「そのセリフを叫ぶ方が、よっぽど小さく見えるんやけど……」
壊れて、ウサを晴らして、
テキトーなことを叫んで、
狂って、歪んで、腐って、
――それでも、センは、折れることなく、前に進み続けた。
地獄に地獄を積み重ねて、
キッチリと、ズタボロになりながら、
それでも、大事なものを守るために、
センエースは、必死になって、自分を磨き上げていった。
田中に殺される速度はどんどん上がっていくが、
しかし、その速度も、『10年で2000回程度』のところで頭打ちになった。
田中の成長加速度だって無限じゃないし、
センだって、ちゃんと強くなっている。
最終的には、『10年間で2300回ぐらい殺される』というところで安定し、以降は、数が多少前後するものの、最小でも2000回、最大でも2500回殺されるだけ、というペースで、ループを繰り返していく。
ひたすらに、何度も何度も、『殺されて、強くなって、また殺されて』という、しんどいループを繰り返した。
途中で、頭がバグったのか、楽しくなったりもした。
俯瞰で自分の成長を見て、面白がるという、謎の躁ゾーン。
ただ、それも無限ではなく、
『なんで、こんなに苦しい想いをしないといけないんだろう』
という、ゴリゴリの鬱ゾーンに入る。
そうなれば、成長率も停滞。
楽しんで練習している時と、そうでないときの練習では、普通に、実際問題、効率に大きな影響が出る。
とことんメンタルが落ちて、田中に愚痴って、怒りをぶつけて……
で、また、どこかのタイミングで、メンタルを盛り返して、
自分の成長を楽しむターンに入って、
けど、また……
と、激しい躁鬱を、何度も、何度も繰り返す。
100年、1000年、1万年……
100万年、1000万年、1億年……
そんなもんじゃ終わらない。
ダブルの完全会得までは、まだまだ時間がかかる。
5億年、10億年、20億年、30億年……
『確かな時間』を積み重ねていく。
躁鬱にまみれた地獄の時間を積み重ねて、
心身の質量を底上げしていく。
研鑽に研鑽を重ねて、命の最果てを求め続ける。
100億年、200億年……
1日、1日を、しっかりと踏みしめていく。
1秒、1秒と、全力で向き合っていく。
サイコジョーカーに心を砕かれながら、
イタズラな領域外の牢獄に心を蝕まれながら、
家族と必死に向き合い続ける。
300億年、500億年……
ついには、合計ループ回数にして、
『250億回(2500億年)』を突破した。
もうとっくに、色々な情緒が完全破損しているが、
しかし、それでも、センは、己と向き合い続ける。
★
「……」
意識を取り戻した時、センは、自室で、ゲ〇ムボーイ片手に、
ムーア最終の作成に取り組んでいた。
「……」
疲れ切ったその目に生気はない。
意識があるようには見えない、濁った眼。
朦朧としていて、電池の切れたカラクリ人形みたい。




