52話 戦争と疫病と飢餓と貧困と差別がなくならないのは、全部、田中のせい。因果関係とかはともかく、とにかく、田中のせい。
コミカライズ版センエース、
12話配信記念!!
1日10話投稿!
本日の4話目!
52話 戦争と疫病と飢餓と貧困と差別がなくならないのは、全部、田中のせい。因果関係とかはともかく、とにかく、田中のせい。
気づけば、10年の中で、センは田中に10回殺されるようになった。
『10回ぐらいだし、ぜんぜん大丈夫』と思っている間に、100回殺されるようになった。
とんとん拍子で、殺される速度が加速していき、
気づけば、毎回、1000回以上は余裕で殺されるようになってきた。
――ちなみに、田中とのガチ死闘を開始してから、まだ、ループ50回ぐらい。
たったの500年そこそこで、田中は、ダブル変身のセンを、『10年かけて1回殺せるか否か』から『10年で1000回殺せる領域』にまでたどり着いてしまった。
田中は、あまりにも天才すぎた。
存在の格が違いすぎたのである。
★
「もう、いやぁあああああああ! きゃああああああ!」
自室で、ゲームボ〇イを壁にたたきつけながら、
センは、『襲われている女性』のような叫び声をあげる。
「誰か、田中を殺してぇえええ! もう無理ぃいいい! すいませぇえええん! だれか、大人の男の人ぉお! 助けてくださぁあああい! 誰でもいいから、あのサイコを殺してぇええええ!」
と、田中の天才性に心底怯えている、被害者A。
田中の成長率がウザすぎて、ついに壊れてしまった。
『ついに壊れる』という現象を、何度も繰り返してここまできたセンさんだが、今回の壊れ方は、なかなか激しいものがあった。
「田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ、田中に災いあれ」
と、うずくまり、天に祈りをささげる。
『敬虔な信者ポーズ』で、必死になって、田中の不幸を祈るセン。
そんなセンに、空気を読む気がないヨグが、
「人を呪わば穴二つというぞ」
「俺の墓穴一つで、あいつをどん底に叩き込めるなら、安いものだろう!」
と、ちょっと何言っているかわかんないことを言っている間に、
ハスターが登場し、田中も現れた。
田中から、
「タイムリープ、どうやった? うまいこと、いけた? いい感じに殺された?」
などと、軽快なことをほざかれたセンは、
「キェエエエエ!」
と、ラリった目で襲い掛かる。
ギリギリのところで回避した田中は、
「おいおい、なんやねん」
「田中死すべし! 田中死すべし! オマエなんか命の公害だ! 戦争と疫病と飢餓と貧困と差別がなくならないのは、全部、お前のせいだ! 因果関係とかはともかく、とにかく、お前のせいなんだ! ゆえに死ね、バーロー」
「すごいこと言うとるな。こいつ、ほんまに『病的な高潔』のスペシャルをもっとるんか? 人間失格とか言うレベルやないで」
ワーワーと、幼稚に争っている間に、
「……あ、だんだん、記憶も回収できてきた」
田中は、ここまでの流れを理解した。
「ああ、なるほど。現状、ワシの方が圧倒的に強くて、それが気に入らん、と」
「安っぽい表現で清書するんじゃねぇ! 俺が小さく見えるだろうがぁあああ!」
「そのセリフを叫ぶ方が、よっぽど小さく見えるんやけど……」




