49話 ダブル同士のどんちゃん騒ぎ。
コミカライズ版センエース、
12話配信記念!!
1日10話投稿!
本日の1話目!
49話 ダブル同士のどんちゃん騒ぎ。
(田中ってのはなぁ……なんというか、その……今のお前よりも、もっと、こう、激しくビビッドで、ミステリアスなファンタジスタで、神秘的なアンニュイが物憂げで、それでいながら、哀愁があって、知らないうちに心奪われそうなメランコリックで――)
(なにをふにゃふにゃ言うとんねん。具体性ゼロのエモーショナリーを並べ立てるだけ。『見たことない映画の感想』でも、もう少しまともなこと言えんで)
(ま、冗談はともかくとして)
とっ散らかったファントムトークを、バッサリ、排除してから、
センは、そこそこまじめな顔になり、
(……田中、お前、ダブルはできるのか?)
(一応な。お前が頑張っていた裏でワシもそれなりに積んどった)
そう言ってから、
「究極超神化3」
ダブル変身を決め込む。
ダブルをしたからといって、センのように動けなくなるような無様は晒さない。
(3を後に回してもダブルできるんだな)
(ベースをどっちにするかの問題でしかない。先に変身した方がベース。3をベースにした方が安定性は増す。固有神化ベースやと、コントロールがかなりしんどい)
(それはあれか? 『天才である自分は、無能の舞い散る閃光と違って、コントロール余裕だから、固有神化をベースにさせてもろてます』っていう、痛すぎるマウントか?)
(もちろん、そうやけど? 逆に、それ以外の何に聞こえた?)
(なかなか質の高い煽りだ。気に入った。殺す)
そんなこんなで、ようやく死闘の開始。
『究極超神化3×真醒・究極超神化』
VS
『天星神化6×究極超神化3』
ダブル神化同士の戦い。
出力的には田中の方が上なのだが、
(おいおい、田中さんよぉ。おたく、戦闘力が、ずいぶんとお粗末じゃありませんこと。30億年前よりなまっているぞ。俺が必死で、ダブルに慣れようとしている間、何やってたんだ。寝てたのか? そんな長い間寝ていたら腰を痛めるぞ)
(……動かんお前を、必死こいて殺しててん。作業しかさせてもろてないから、そら、戦闘力も落ちるやろ。つまり、おどれが悪い)
(やれやれ、何でもかんでも人のせいか。はっ、わかった、わかった。広い心で受け入れてやるよ。全部、お前の言う通りだ。電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、ぜーんぶ、俺のせいだよ。これで満足かい、この豚野郎)
煽りつつも、
センは、田中の底を測ろうと、
いろいろ、手を打っている。
そんな中で気づいたのだが、
(田中さんよぉ。戦闘力が低いのもそうだが、単純に、お前、出力が、なんか低くね? 固有6ベースの3掛けとは思えない低スペックだぞ。今の俺と大差ない)
(ワシかて、別に、何でもかんでも最初から完璧にできる訳やないねん。下地となる訓練は続けてきたけど、実際にダブル変身するんは、これが初めてやねんから、自由に動けとるだけ褒めてくれや)
(その程度で、褒められると思うなよ。お前は、もう、俺の度肝を抜いて当たり前というところまで来てしまったんだ。ここから先は地獄だぞ。もう、満点をとっても褒められない。偏差値100でも、足りないと文句を言われる。100点満点のテストで100億点とっても、『え、1000億点とれなかったの? なにやってんの? 寝てたの?』と怒られる。それがお前の人生だ。もう、お前が、俺からほめられることはない! 何を成しても虚無! はっはー、ざまぁみろ)




