47話 ケツの穴の位置が思ったより高いセンエース公。
47話 ケツの穴の位置が思ったより高いセンエース公。
(……だいぶ抑えたんだが、これぐらいでも木っ端微塵になるか……脆いな……しょっぱすぎる)
(……な、なかなかおもろいこと言うてくれるやないか……)
 
欠損治癒で即座に再生させつつ、恨みがましい目でセンを見る田中。
直後、豪速でセンの背後を奪って、反撃をしようとする。
『センの後頭部』を狙った渾身の『アホの一つ覚えパンチ』。
昔は、ただのしょぼいパンチだったが、アホほど時間をかけて、丁寧に磨いた結果、なかなかのスペックを誇る必殺技となった。
そんな田中の自慢の必殺技を、センはノールックかつ最小限の労力で、キィンッ、と華麗にパリィする。
攻撃が当たる瞬間だけ、『ドリームオーラ・オメガバスティオン』を展開するという神業。
これを、センは、ほとんど反射の領域で行えるようになった。
(攻撃面は絶賛模索中だが、防御面は、散々、磨き尽くしてきたから、遅れをとることはねぇよ。さて……次はこのぐらいでどうかな?)
そう言いながら、センは、田中の肩に触れる。
これまでよりも、わずかに鈍い痛みが田中の肩に襲いかかった。
当然のように爆散。
田中は、その激痛に耐えながら、欠損治癒を使いつつ、センに、
(痛いなぁ、クソがぁ。あのよぉ、にーちゃんよぉ……その爆発させるヤツ、やめれる? ウザァてしゃーないねん!)
(別に爆発させたいわけじゃねぇ。イメージ的には、クレーン車でアリを潰している感じだ。力加減が恐ろしくむずかしい。俺としては、肩にアザをつける程度の衝撃にとどめようとしているんだが、うまいこと行かない)
 
(ほんまやろうなぁ。体がうまいこと動かんふりして、恨みを晴らしとるだけちゃうやろな)
(やれやれ、愚かなことを……こちらにおわす俺様をどなたと心得る。恐れ多くも先の神帝センエース公にあらせられるぞ。高潔という概念の擬人化と言われている俺が、復讐心に取り憑かれるなど、ふっ……ありえんよ。あってはならんことだ。……そんなことより、田中。センエース公の御前である。頭が高い。ひかえおろう)
 
そう言いながら、センは、田中の脳天にチョップを入れていく。
「いったぁああああっ!! んずぅおおおおおっ!!」
(ちっ、ギリ、うまく調節できちまった。頭爆発すればよかったのに。俺の高潔さがアダになったな。高潔さも時には枷となる。いい勉強になったよ。ところで田中さんよぉ、聞きたいことがあるんだけど、高潔ってどういう意味? 『ケツの穴の位置が思ったよりも高い』って理解でオーケー?)
 
(……もう気が済んだか?)
(そこそこな。ぶっちゃけ、まだまだ全然足りないが……まあ、この辺で勘弁してやるよ)
と、雑な返事をしてから、
センは、
(さて、それじゃあ、そろそろ、本気を出してもらおうか。田中さんよぉ。どうせ、俺が30億年、もたもたしている間に、お前は、かなり先に進んでいるんだろう? みせてくれよ。常に俺の100歩先をいく、その世界一の天才性とやらを)
 




