26話 変身をするたびにパワーが遥かに増す。その変身をシュブは、あと……
26話 変身をするたびにパワーが遥かに増す。その変身をシュブは、あと……
「……だいぶ遠いけど、でも、まあ、背中が見えないってほどじゃねぇな。現時点での合計した存在値だと100兆分勝ってるし。まあ、合計で勝っても意味ねぇけど。クリ〇ンが10万人集まってもフリ〇ザには絶対に勝てないから」
高位の闘いになれば、『闘いは数だよ兄貴』の理論が通じなくなる。
『20兆 VS 70兆』みたいな、『離れてはいても、そこそこ拮抗した数字同士』なら、『数的有利』にも意味が出てくるが、『20兆 VS 200兆』ぐらいの領域になってくると、流石に意味がない。
――ただ、
「全員が、もう一段階分ぐらい、出力を上げれば……可能性の芽は出てくる……今は無理でも、もう少しで――」
今は勝てないが、しかし、将来的には問題ない数字だと判断したセンに、
田中が、
「あのシュブは、変身をするたびにパワーがはるかに増す」
泣きたくなるテンプレを口にする。
「その変身を、あと17回もシュブは残している。この意味がわかるな?」
その言葉の意味が、吐くほどよくわかるセンは、
一瞬、ガチの思考停止に陥り、
「えっと……あの……田中さん。それは、洒落た小ボケ? それとも、鋭利な中ボケ?」
『頼むから、ボケであってくれ』という祈りが通じるほど、
センエースの人生は甘くない。
「シュブの『実質的リミット』は、ワシもよぉ知らんけど、『瞬間的に出せる最大値』は、どうやら、かるく1京を超えとるという噂やで」
「……京……けい……けぇぇ……」
絞め殺されている途中のニワトリみたいな顔と声。
「アウターゴッドの最高格。その実力はハンパやないってことや」
そこで、センは、自分がもっているヨグナイフの事を思い出し、
「アウターゴッドの最高格なら、俺も持っているのに……なんで、俺がもっている『アウターゴッドの最高格』だけ、ゴミみたいな性能なんだ……」
プルプルと、怒りに震えて、
「おい、ごらぁ。ヨグ! お前も覚醒しろ! そして、本来のステータスである1京超えのスーパーパワーを、シュブに魅せつけろ!」
と、命令を下すと、
ヨグは、センの前に顕現して、
「私の封じられた禁断のミラクル・コズミックホラーパワーを解放するためには、最低でも、1000のステップを踏む必要がある」
「多いなぁ……3つぐらいに、まけてくれねぇか?」
「ステップ1、まずは、シュブを20ターン以内に倒せ」
「もういい、消えろ」
『ヨグの尖ったボケに付き合っているヒマはない』とばかりに、ヨグナイフを、虚空に向かって投げ捨てるセン。
闇へと溶けていったヨグナイフを尻目に、
「あのさぁ、田中さん……シュブの最終形態が1京級って、ほんとのほんとのマジ? それとも、ヨグの発言と同じ系統のボケ? 頼むから、『あれは嘘だ』って言ってくれ。ほんと、マジで。300円あげるから」
「最低でも1京って噂やから、下手したら、2京とか、3京とか、そういう次元の可能性もなくはないから、そのつもりで」
「……」
「500億回程度のループで超えられたらええのう」
「……はぁぁ……」




