20話 ずっとしんどい。
20話 ずっとしんどい。
「……絶対にぃいいい! 折れてやらんぞぉおおお! くそがぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
異常な覚悟を叫ぶセンを見て、ヨグは、
「私は、今、猛烈に感動している」
と、センにならって、テンプレをぶちこむ。
チャラい風を演じつつも、しかし、内心では、本気で感動していた。
その隣で、田中も、
「……すごいやっちゃで、ほんまに……なんで、そこまで出来んの? ガチで、ラリってんで、ジブン。もうゲロ吐きそうなぐらい、しんどいんやけど」
普通に感動していた。
下手したら涙を流しそうだった。
しかし、それは、流石に我慢した。
心底から尊敬している『幼馴染&ライバル』の前で、
『無様な姿を見せること』はさすがに許されないと、
田中の中にある『最も熱い部分』が叫んでいたから。
★
それからのセンの地獄は、ゴリゴリに濃度を増していった。
最初から、『サイコジョーカーにずっと耐える』という、もう、普通に考えておかしいことをしているのに加えて、『イタズラな領域外の牢獄』にもずっと耐え続けるという、キチ〇イ極限突破なダブル地獄。
ずっと、精神に極限の負荷がかかった状態で、
ずっと、弱い自分が、
『もうやめようと、マジで意味ないって』と語りかけてくる。
それが邪魔で、邪魔で、邪魔で、仕方がない。
普通に、何百億回もタイムリープをするだけでもしんどくて仕方がなく、しかも、そのたびに、配下に殺されるという地獄を経験しているのに、その上で、何重ものハンデを背負うというサイコっぷり。
いちいち、心にガツンと燃料を入れないと、朝、動きだすことすら出来ない。
それが、本当にしんどくて、しんどくて……
「はぁ……はぁ……」
疲労度がハンパじゃなくなっている。
今、センは、殺されて、いつもの朝に戻ってきた直後なのだが、
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
最初の一歩が、しんどすぎて、脂汗にまみれ、呼吸困難に陥っている。
『ほとんど思考停止で殺し合っている時』は、没頭しているので、自分の弱さから、一時的に目を背けることができるのだが、しかし、ループした直後の、こういう、一息ついたタイミングが、本当にしんどい。
本来であれば、唯一のホっとできる、休憩タイムなのだが、しかし、『イタズラな領域外の牢獄』を背負っている今のセンにとっては、この時間こそが、何よりも過酷な『高すぎるハードル』と化していた。
(まずい……動けなくなる……泥になる……)
過剰な眠気は、脳みそからのSOSサイン。
『これ以上は、心と体が壊れてしまうからやめておけ』という悲鳴。
人間ならば、基本的に、誰でも備わっている危機管理機構。
ジンマシンが出たり、喘息になったり、頭痛が酷くなったり、意欲が死んだり、目が痙攣したり、手足がしびれたり、
普通なら、『休む』という選択肢をとって、どうにか対処しようとするのだが、今のセンに、それは出来ない。
なぜなら、なんとなく気づいているから。
――この絶望すらも、糧であるということに。




