33話 ちょっと何言っているかわかんない。
33話 ちょっと何言っているかわかんない。
何度も、何度も、壁にぶつかって、
時には迂回して、
時にはよじのぼって、
時にはぶっ壊して、
「……ナメんじゃねぇぞ……」
世界に言っているのか、
自分に言っているのか、
そんなことはどうでもよかった。
ただ、『ナメられるのが許せない』という、DQNな感情が沸き上がって止まらないだけ。
「降りてやらねぇ……折れてやらねぇ……俺は……俺が求めた未来以外の全部を拒絶する」
欲しいものがあったから。
あがきつづけてきた。
センエースの望み。
センエースの願い。
センエースの慟哭。
「俺をヘシ折りたかったら、あと『1000不可思議倍』の地獄をもってこい……そしたら、暇つぶしに、もうちょっとだけ、苦しんでやるよ。まあ、そこまでいっても、俺は、とまらないけどな。『ウスバカゲロウの一生分』だけ悩んだあとは、『朝飯前のラジオ体操』が二度見するぐらいの優雅さで、すべての絶望に、とびっきりのシャイニングウィザードをたたきこんでやるよ」
ちょっと何言っているかわからない発言だった。
言葉の意味はよく分からんが、
とにかくすごい覚悟だった。
★
――現在、センは、召喚に関する技能を高めようと、
召喚技能系の施設に入り浸っていた。
「あるていどは高位のモンスターを召喚できるようになったが……現段階だと、『それだけ』なんだよなぁ……」
召喚術は、奥が深い。
あまりに深みがエグすぎて、今のセンでは、『まったく意味が分からない』というのが本音のところ。
『神の召喚獣を召喚できるようになった』と言う程度では、実のところ、半人前にすらなれていない。
「……召喚という分野で『120点の結果』に届こうと思うと、結局のところ、『ランダム召喚』にも手を出さないといけないんだよなぁ」
ランダム召喚は、文字通り、何が召喚されるかランダムになるのだが、そのアリア・ギアスが組み込まれているおかげで、召喚士の『限界以上の召喚獣』を召喚することも可能という『ギャンブル性の高い特性』を持つ。
「でも、ランダム召喚は、媒体を用意するのも、既定の手順を踏むのも面倒くさすぎる……召喚関係のマニアでもない限り、こんなもんやってられねぇ……」
センは、『召喚』という技術のことを、『なかなか面白い』と思っているが、
しかし『マニアレベルで偏愛しているか』というと、決してそうではない。
狂愛レベルにならないと、召喚という技能は極められない。
例えるなら、ポ〇モンのやりこみ度合。
召喚で『極み』を求めるとなると、
『初代赤で、ケン○ロス理想個体厳選をする廃人』ぐらいにならないといけない。
今のセンは、『ミ○ウツーをゲットして満足している』というドペーペー状態。
召喚を極めるハードルは想像以上に高い。
そして、そのハードルは、実のところ、召喚だけの話ではない。
「召喚も、武の道も、アイテムクラフトも、仮面作成も、エグゾギア強化も、オメガバスティオンの理解も……全部、奥が深すぎる……こんなに、深くなくていいと思うんだけどなぁ……」
ため息が、無限に止まらない。
そんな、しんどすぎる人生を、
センは、今日も謳歌している。