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4話 真醒・裏閃流奥義。


 4話 真醒・裏閃流奥義。


「……真醒・裏閃流奥義……」


 『田中の武』の中核に触れるセン。


「――閃拳――」


 軽く触れただけ、右手を田中の腹に添えただけ、歩くような速度で。

 なのに、センの拳は、田中の腹部を木っ端みじんに吹き飛ばした。


「……げふっ……」


 大量の血を吐きだす田中を、

 センは、無感情に見つめていた。

 フラットなまま、


(……あ、悪いな……吹っ飛ばすつもりはなかったんだが)


 ほとんど反射で、謝罪を入れていく。

 『知らん人と肩がぶつかった時』の心境と、

 『寸止めの組手中に、ちょっと当たってしまった時』の心境の、

 ちょうど、中間ぐらいの感情。


 決して煽っているわけではなく、

 普通に、『おっと、悪いねぇ』と思ったので、スルっと謝罪の言葉が出た。


 ――田中は、センの反射謝罪に反応を示すことなく、

 欠損治癒の魔法を使いながら、


(……今の一撃……それまでのソレとは、性質が、全然違ったな……何をどうやった? よぉ分からんから、教えてくれ。真似したい)


(……どうやったか? えぇ……どうだろう……別に隠す気はないんだが……ちょっと、よくわからんな。なんとなく、ノリで『真醒』と冠をつけてみたが、マジで、ただ、ちょっと『言ってみただけ』に過ぎねぇ……だから、できたら解析してくれ。得意だろ、そういうの)


(……再現はできるか?)


(知らんよ。よく分かってないんだから)


 心の中での、『全く前に進まない会話』を経てから、

 センは、右手を拳にする。

 それほど力をこめずに、

 ただ、『まっすぐ』に、


「真醒・裏閃流奥義――閃拳――」


 磨き上げてきた技をはなつ。

 グンとのびやかに。

 まるで、羽でも生えたみたいに、

 センエースの拳は、田中の中核をブチ抜いていく。


「ぶへぇっ!!!」


 今度は、腹だけではなく、首から下のほとんどが爆散した。

 だいぶ悲惨な状態。

 ほとんど首だけになった田中は、



「……け、欠損治癒……ランク2500……」



 高位の魔法で、即座に回復させようとした、

 が、


(エグいほどの高位魔法を使っとんのに、なっかなか回復せんのやけど……セン、お前、マジで何した? これ、なんや?)


(いや、特に何も……普通に殴っただけだが)


(なんやそれ。お前の拳には、バラモウイルスでも付着しとんの?)


(人を病原菌扱いとは、いただけないねぇ。そういうのはやめましょうって、小学校でならわなかったか? 倫理や道徳のテストでも満点を取れるように頑張るのが真の天才だって、昔のエロい人も言っていた気がするぞ)


(……この感じ……回復魔法が阻害されとる……とは、またちょっと違うな。……これは……『破壊』が深すぎて、虚理での処理が間に合わんって感じか。……いや、それもあるけど、もっと根本の話……ワシの中で積み上げたバグ……の一部がぶっ壊されて、連携を失っとる。緻密に組み立てたビルドゆえ、一部でもぶっ壊されたらボロボロに瓦解する。で、今回、壊されたんは、具体的には……虚理の処理を最適化させるシステムの部分。こんなことされたら、魔法の挙動が狂って当然。バグをぶっ壊されてバグるという因果応報。……なるほど、やばいな)

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