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1話 遥かなる低み。


 1話 遥かなる低み。


 田中の戦闘力や覚醒は全て引き継がれている。

 それと、覚醒によるメモリ拡張で、必要な記憶も、一部は引き継がれるようになった。

 ――この辺の『継承』が可能になっているのも、実のところ、センが、重たいアリア・ギアスを背負ったから。


 絶望の大半をセンエースが背負っているから、田中も配下も強くなることができている。

 要するに『マジで頑張っている』のは『センエースオンリー』であって、他のメンツは、センに養われているだけ。

 センが稼いだ給料で飯を食っているだけの被扶養者。


 どの視点で見ても、現環境で、1番評価されるべきなのはセンエース。

 現状、縁の下の力持ち感がいなめないため、派手さという点で田中が輝いているが、それだって、センエースが頑張っているから輝けているだけ。

 センエースという土台があって、田中は初めて輝くことができる。

 田中の場合、センがいなければ何もできない……というわけではないが、しかし、事実として、今、これだけ、派手に輝けているのは、センがアホほど頑張ったから。

 育児も家事も仕事も全部、センが、アホほど完璧にやっているから、田中たちは、無邪気に『膨らみ続けること』が出来ている。

 イメージ的には『ボディビルダーのヒモ』を『数十人単位で養っている』みたいなもの。

 彼らが、舞台の上で、『肩にちっちゃい重機のせてんのかい!』と言われて尊敬されているのは、全部、センが縁の下の力持ちとして頑張ったおかげ!


 ――その事実を、センも、バカではないので、ある程度は理解しているのだが、感情という荷物は、そう簡単に、そこの部分に、明確な折り合いをつけてはくれない。


 それに、俯瞰的な事実として、

 リアルタイムのなまの『客観視』では、

 『一生、田中がすごくて、センはずっと微妙』

 という流れから抜け出すことができていない。


 だから、センの心は、ひたすらに荒んでくる。


 センは田中にずっと殺され続ける。

 凶悪な輝きを放つ田中に追い詰められ、十年かけて殺される。

 そんなことを繰り返した。

 

 5回や10回ではない。

 何度も、何度も、

 『田中に殺される十年』を繰り返す。


 タイマンで田中に殺されるだけだったら、最悪、そこまで精神的な負担はなかっただろうが、田中のサポートとして、配下の面々が常に全力の殺意をセンに向けてくる。

 これがとにかくしんどい。


 配下たちの手厚いサポートを受けた田中に10年かけて殺される、という地獄を、100回、1000回、1万回、10万回、100万回、1000万回、1億回……

 と、繰り返し続けた。


 その間、センは田中から、『才能の違い』を見せつけられ続けた。

 田中の天才性は、もう、ほんと、とにかくハンパじゃなかった。

 田中の武は、スクスク、スクスクと、気持ちいいくらい伸びやかに成長していく。


 センが、

 『置き去りにされたくない』

 と思う暇もなく、田中は上へ上へと駆け上がる。


 今となっては、もう、ただ、『豆粒になってしまったライバルの背中』を、『遥かなる低み』から見上げるばかりのセン。


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